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Rainy Heats
Rainy Heats
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ら露出した。
だが、突如カプセルが揺れ、中から音が聞こえ始める。だが壁が厚く何の音かは判明しづらい。
音は暫く続いたが、しばらくすると静かになった。これは、カプセルの中に何かがいるのか?
一歩踏み出し、カプセルに近づく。
『アオイちゃんやめとこうよ!きっと地底人の侵略だよこれ!』
そんなことはあり得ないと思うが、確認せずには居られない。
カプセルまであと一歩のところまで近づいた瞬間、カプセルは突如外側に向かって凹んだ。
咄嗟に凹んだ箇所から横に飛ぶ。ビィの言う通りやはり、地底人?
だが、凹んだ形状をよくみると、人の拳の形に凹んでいる。それも、子供だ。
考えている間に、凹みは増えて行き、数えて六回目の時
「おちゃー!」
中に居た者の掛け声と共にカプセルの壁がはじけ飛んだ。接合部分が耐え切れなかったのだ。
だが、重要なのはカプセルのことではない。その声の主だった。
「うー・・・やっと出れたぁ・・・」
中からした声は、間違い様がない。だが、声はしてもカプセルから出てこない。
「秋!」
カプセルの中を覗き込み、彼女の名を呼ぶ。まだ確証はもてない。同じ声のロボットの可能性もある。
「あーアオイだ。やっほ」
声に反応し、片手を上げた姿は間違いなく秋だった。石像にあった悲しそうな顔ではない、柔らかな笑み。これが秋の顔だ。
ただし、両足を失くし、着ていたスーツはほとんどなく、肌が露出し、腹にはこぶし大の穴が開いており、そこから液体が流れ出ていた。その光景に一瞬目を伏せてしまった。惨すぎる姿だった。
『秋ちゃん!・・・てかアオイちゃんは見ちゃダメ!』
「み、見てねぇよ!」
正確には見たが、そんなことを言っている場合ではない。
「うわー裸見られちゃったわー。これは責任とってもらわないとダメだわ―」
「責任とか言ってる場合じゃないだろ!」
カプセルに入り込み、ひとまず自身の上着を秋に掛ける。こうでもしなければビィがうるさい。
「大丈夫だってさー。このくらいじゃ私は死なないよ。それよりおぶってよー、歩けないよ―」
両腕を伸ばし、アオイを招く。
「ビィ、これは大丈夫なのか?」
『うん。秋ちゃん達はおつむさえ大丈夫だったら、まず死なないよ』
「はーやーくー」
「わかった、わかったからおとなしくしろ」
秋に導かれるまま、秋を抱えようとするためにかがむが、伸ばした手で逆に秋に抱かれ、そのまま唇を押し付けられた。
突然のことで全く反応できなかった。
人工血液独特の甘い香りと、秋の香りが混じり、鼻孔に流れてくる。酸欠と相まって、目眩がする。
『うわっうわっうわーっ!秋ちゃん、その抜け駆けは反則だよ!』
ビィの反応を鬱陶しくしながら、キスを終える。そして閉口一番に
「抜け駆け?ちがうよ。これは、責任とってもらっただけ」

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