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Rainy Heats
Rainy Heats
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いつ、あれほど固定しとけっていったのに・・・こいつは謹慎だな」
被害報告が五月雨式に報告され、全てを確認、既読状態にした上で処理する。
「意外と多忙なんですね」
することもなく咲は椅子に腰掛けまんじりとしていた。出したコーヒーにも手を付けていない。
「そうよ。なんたって、私の艦で、家族だもの」
「地下の家族を放り出して、得た家族の方が大事ですか?」
「・・・あの時は、そうしたほうが安全だったのさ」
報告を読む手を止め、咲と向かい合う。
「貴方の言う安全は、教団の地下で息子と義娘を監禁することなんですか?」
「そうしなきゃ、殺されてたわ」
「そうしなくても、あの人達は死んだわ」
「・・・」
「二ヶ月前よ。私も聞いたのは最近だから貴女も知らないことでしょうね!」
「・・・そうかい」
「あの人達をなんで説得してでも連れて行かなかったの!そうすればあの人達は死なずに、貴女みたいに生きてたんじゃないの!」
咲はさらに続ける。
「私は必死に自分が何者か調べた。でもそのためには、教団の力が、生き残ることが必要だったの。その結果がこれよ!両親は死んで、貴女は裏切り者!答えてよ!」
「・・・あの子達はね、私を自由にしたかったと言ったよ」
「は・・・?」
「当時の私はね、人を活かそうとするので手一杯だったんだ。その上で、あいつが裏切って、追い出された。その時一緒にあんたの両親も追い出されたんだ」
「嘘・・・つかないでよ」
「でも、政府は私を政府のトップに祭りあげて、教団と対決させようとしたんだ」
「そんな・・・そんなこと・・・」
「その時にあいつらは、自分たちは教団のスパイだって言ったのさ。そうすれば、私もスパイじゃないかって疑われて、そんなやつをトップに置けないだろうって」
「私は反対したけど、すでに動いていてね。あれよあれよと、捕まって尋問の毎日さ。いつしか拘束し続けるのも問題になってね、私を海に出すことになった」
「待って、父さんと母さんは」
「拘束されたままだった。だから、教団側にこっそり言ったのさ。政府が拘束している夫婦は教団の重要な情報を握ったままだって」
「教団に救助を依頼する形になったけど、これが最善だと思ったよ。結果的に、教団に監禁される生活になったけど、不自由はなかったみたいだよ」
引き出しから一通の便箋を取り出す。書いてある字は息子、咲の父親のものだ。
「これって・・・父さんの」
「教団に監禁されて何日か経った頃に貰ったやつだよ。不自由なくやってるって書いてあった」
「そんな・・・だったら、なんで私に何も・・・」
「あんたは教団に預かって貰って、戦いに一切触れさせないようにしたんだ。私達とのつながりを一切伏せてね。そうしないと、あんたまで無駄に狙われる。だから、その関係を知られたくなかったんだ
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