Rainy Heats
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チがこちらに届く前に、結晶体が着地した。その足元に居たモガリは―――――。
だが、モガリの安否を確認する前に、その床ごと踏抜け、さらに下へと落ちていった。
「モガリさん!」
「おっさん!」
『モガっち!』
結晶体が踏み抜いた穴に叫ぶが返答はなく、自分の声が響くだけだった。
踏み抜いた穴は深く、底が見えなかった。やがて、底から勢い良く風と青い光が吹き出す。
結晶体が、爆発したのだ。
「嘘だろ・・・なんで・・・」
アオイの疑問はわかる。だが、今はやらねばならないことを託された。手元のスイッチを確認し、破損していないことを確認する。
「アオイは先に行って!わたしがやる!」
「お前・・・はどうするんだよ!」
「私はモガリさんの作った道の方に行くわ。大丈夫よ」
『でも、秋ちゃんそれって―――――』
洞窟内の見ないことにしていたデータ、それが本当ならば―――――。
「いいから行って!早く!」
「・・・わかった」
『アオイちゃん、秋ちゃんは―――――』
「行って!結晶体がくる!」
秋がいうことは正しい。いつさっきと同じように結晶体が降ってくるかわからない。
早くしなければ。
「でもな、生きて帰ってこいよ」
「・・・わかってるわ」
「ビィ!行くぞ!」
『・・・わかったよ!秋ちゃん、約束だよ!』
脱出ポットに入り込み、シートに身体を固定する。
即席で作った推進器のスイッチを押し、推進器を点火。全身を始める。
振り返ると秋がこちらを眺めつつ、手を降っていた。
それを脇目に、穴へと飛び込み、地下へと向かう。
?
「生きて帰って、か」
手元の動力炉とスイッチを見るが、何度見てもこれは有線ケーブルでつながっており、おまけに短い。遠隔操作で押すことができればまだ生還の可能性はあった。
だが、有線であるということは、元々ここで自身もまとめて吹き飛ばすつもりだったのだ。
「ちょっと、難しいかな」
しかし、生き残ると約束した以上、できることはやる。
スイッチを押し、備え付けられたセグメント液晶が3を示す。猶予は、三秒。
全身の筋肉を戦闘用に変更し、反応速度と筋力を限界まで引き上げ、同時に爆発の威力を計算し、最も影響の少ない場所を導く。二秒。
筋肉の変更により演算能力が下がっているが、それでもコンマ三秒で計算を終える。もっとも影響が少ない場所は、先ほど結晶体が開けた穴。そこに飛び込めば爆風の影響が最小限になる。
動力炉ごと真上に投げ、そしてそのまま雨が開けた穴に飛び込んだ。だが、飛び込んでもこのまま下の地面に叩きつけられて死ぬ可能性もある。それでも、爆発に巻き込まれれば間違いなく死ぬ状況よりは、いくらか生き残る可能性がある。一秒。
飛び込み、穴の壁際に沿って落下、爆発に耐える事と地面へ激突した際の対ショック態勢を
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