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Rainy Heats
Rainy Heats
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のの、雨蜘蛛の装甲を貼り付け、破損した部分を補修するくらいだが。
「仕方ないでしょ、動力炉の制御は難しいから任せるしかないのよ」
『ぐぬぬ・・・この私が全力さえ出せればあんなもの・・・』
「ほれほれ、手が動いてないぞー」
動力炉の制御は複雑化しており、モガリが持っている端末でしか操作できない。秋にも一応は可能らしいが、演算と操作を行うためのソフトウェアは邪魔だからと削除していた。通常は、機体と操縦者が演算処理を分散して行うらしい。
加えて、現在のビィはバッテリーの性能によって機能をかなり制限されており、演算能力は大幅に制限されている上に、センサ類もほとんど積んでいない状態だ。
「だってビィだけでもできるし、いらないかなーって」
『秋ちゃんが私を頼ってくれるんだよ!そりゃあ頑張りましたとも!』
「秋ちゃんさ、それOSに結構負荷かかるから今度からやめてね」
「え、嘘・・・。ねぇビィ、それホント・・・?」
『え、ちょっと熱暴走気味だなーって思ってたけど、それが原因かな?』
「そうだよ。壊れなくてよかったね」
「う・・・気をつけます」
「わかればよろしい。ほい、できた。あとは逃げるだけだ」
脱出ポットを一つ強めにたたき、鈍い音がする。
ポッドには簡単だが推進装置も雨蜘蛛から拝借し取り付けてある。これがあれば最低限進むことができる。
『あんがとねモガっち。あ、ついでに聞いときたいんだけどさ、地下ってどんなとこ?』
「どんなって・・・僕は穴しか掘ってなかったようなもんだからなぁ。まぁあんまり良い所じゃないよ」
『ふーん。それでも、地上の荒野よりはいいかな?あそこ、何もなくなっちゃうし』
「でも、着いた頃には雨もなくなって、戦争も規模が小さくなる。昔の話を聞いてもあんまり意味ないかな」
「それもそうか」
「さ、乗った乗った。時間ないぞー」
言うと、モガリは向こうへと走っていった。水晶の共振は始まっていないが、何時始まるか不明だ。その前に終わらせたいのだろう。
でも、その前に御礼の一言を言っておかなければ。
「モガリさーん!ありが―――――」
言い終わる前に、脳内で目眩がするほどの警報が鳴り響く。これ、は。
「モガリさん!上!」
「は?」
モガリが見上げた場所には結晶と天井。だが天井が割れ、そこから雨の結晶体が降ってきた。場所は、モガリの真上だ。
これも、偶然か。いや、これは必然だった。
結晶が共振した時のみ、雨は本当に降るか。だが、共振しなくともそこに結晶があれば、雨は降るのではないのか。ここに居れば、共振しなくとも奴らは襲いかかってくる。
気づくのが、遅すぎた。
「秋!もってけ!」
モガリは逃げずに、動力炉とそれを操作するスイッチをこちらに投げた。逃げても意味が無いと、モガリはそう判断したのだ。
スイッ
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