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Rainy Heats
Rainy Heats
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なら兵器としての能力は雨蜘蛛がすべてを担っており、それの操縦者として設計された私に兵器としての破壊力はない。
ここに来てビィの損失は大きい。心の損失もそうだが、戦力としても頼りきりだったからだ。持っているのは腰にある携行火器のみ。だが、これで破壊は不可能だ。
ただ、筋肉を戦闘状態にして、殴りつければ破壊できるかもしれないが、その場合は自身も壊れることが最低条件となるため採用しない。
「まぁ、ないだろうね。そこで取り出したるは、これよ」
男が懐から手のひらほどの箱を取り出す。だが、予め用意したものではなく、ちぎれたケーブルもつながったままで、一部が破損している。
「じゃーん、核融合炉。悪いけど、君の機体の残骸からもらってきたよ」
「な・・・!」
確かに、雨蜘蛛は核融合炉で稼働しており、その動力源そのものだ。この機体の動力炉は小型設計され、出力も抑えられているものの、その動力炉の核融合反応であればこの空間ぐらいは破壊できるだろう。
だが、その動力炉は並大抵のことでは取り出せるほど外部に露出したりしないし、なおかつ簡単に取り外せるものではない。どうやって、取り出した?
「この型は、僕が設計したんだ。分解くらいなら足だけでもできるよ」
あの機体を設計したのが、この男。
驚いたが、今はそれほど重要なこととは思えない。動力炉が分解できるほど機体が残っていた事が重要だった。
「じゃあ、機体はまだ―――――」
機体の損壊率によっては、OSだけ、ビィだけを回収できるかもしれない。希望は、まだあるのかもしれない。
「残念だけど、動力炉とちょっとくらいしか残ってなかった。使える物も少ししかなかったよ」
「そう・・・か」
一縷の希望を感じたが、やはり現実は厳しい。機体は残っていても、外側の張りぼてが残っていても意味は無い。
「で、これね。残ったパーツで作ってみたから、あげるよ」
渡されたのは手のひら大の通信端末の様なもの。装甲を使ったのか、表面の手触りは悪く、無理やりその形にした印象だった。
「これは・・・」
「発電力は弱いけど、永久バッテリーとスピーカーはおまけしとくよ」
見れば、内部にスピーカーが内蔵されているようで、音が出るように穴が開いていた。
箱の横にはボタンが付いていたが、色々と押してみるも反応はない。これはただの、ボタンが付いたガラクタの箱だ。
「こんなもガラクタ受け取っても、あいつは―――――」
『やぁん、秋ちゃん指使いえっちぃよぉーうへへ』
聞こえた聞き慣れた電子音声。それが、渡されたガラクタから発せられた。
「ビィ・・・?」
確証はなかった、この喋った電子音声は、あの子と同じ音声パターンで、性格で、私の名前を覚えているだけの全くの別物かもしれない。
『えへー。ビィちゃん、なんとか生き残れましたぁ』
「・・
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