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Rainy Heats
Rainy Heats
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きも、喜びも感じなくなり、私達より人工物らしさを感じてしまう。
逆に私のほうが動揺してしまっている。相棒の喪失とあの爆発の恐怖が、やはり大きい。
今まであの爆発を目にしたことはなかった。まず見た物は帰還しておらず、その前兆を見たことはあるものの、爆発する前には既に倒してしまっていた。
初めて感じた恐怖という感情に、戸惑っているためか、淹れてもらったコーヒーを抱える手が震え、映る自身の顔は青く、水面は揺れていた。いや、この戸惑い自体も恐怖の姿だ。
避けて、離して、触れないようにする。恐怖の原因はもう見たくない。まして、目の前で何かをなくすということが恐ろしかった。
「秋、大丈夫か?」
「だ、大丈夫。まだ、頑張れる、から」
アオイの声がやけに遠く聞こえる。目を覚ました直後は感じなかったが、落ち着くとここまで恐怖が心を支配しているとは思わなかった。
このままでは、駄目だ。だけど、どうやって抜け出せばよいのだ、この恐怖から。
「秋」
アオイに手を包まれ、顔を覗かれる。
「大丈夫じゃ、ないだろ?」
アオイの手に包まれ、震えを押さえ付けられる。だが、力は掛けていない。アオイの心が震えを抑えてくれているのだ。
「そう、ね」
アオイの心は砕けていたのでも、精神力が強いわけでもない。心が強いのだ。だからこそ、ビィの行動も受け入れ、私の心を読んでくれる。
「もう大丈夫だな」
「あっ・・・」
手の震えが収まった辺りで手を離されるが、少し名残惜しく、手を追ってしまう。だが、恥ずかしいのでやめておく。その頃には、不思議と手の震えも収まり、恐怖から抜け出していた。
「なぁ、お二人さん。いちゃつくんだったら、ちょっとおじさんは席外していいかね?」
「い、いちゃ・・・いちゃ付いてなんかいません!」
「どうかね」
照れ隠しでコーヒーを一口啜るが、味に違和感を覚える。
「これ・・・いい香りがする」
「おいおい、嘘だろ。そこらで出回ってる安物の支給品だぜ?これが美味いんだったら、不味いものなんか存在しないぞ?」
「そうなのかなぁ・・・」
では、今まで司令官室で飲んでいたものは一体、何なのだろう。単に、悪いものだったのか、それとも―――――。
「さて、お二人さん。そろそろ本題に入ろう」
モガリがコーヒーを呷り、身を乗り出す。
「僕の目的はこの結晶を壊すことにあった」
空になったカップを掲げ、結晶を指す。結晶は未だ鈍い光を返すだけで、共鳴も始まっていない。やるなら、今だ。
「それは、最終の目標は私達も同じよ」
本来は地下に行くだけだったが、それもこの雨を止めるための準備に過ぎなかった。だが、その準備を飛び越えて目的にたどり着いてしまった。
「そりゃあそうだな、あれ読んじゃったらそうなるわ。で、どう壊すよ?」
「・・・どうって」
本来
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