Rainy Heats
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に少し心が揺らいだが、言葉に耳を傾ける。
「研究も佳境になってきて、雨のかなり確信に迫る研究結果が見え始めた頃だ。結晶化した雨に襲われてね。幸い研究所からは離れてたけれど、僕以外の研究員が皆死んじゃってね。いやぁあれはちょっとグロかった」
「・・・その研究員は、血液が沸騰して死ぬか、発狂した」
「ふぅん、よく知ってるね」
話す内容は、確実にあのレポートの内容そのままだった。では、この研究者は―――――。
「貴方が書いた物だったんですね。『地球再生論』」
「うわ、何でそんな題名にしちゃったんだろ僕」
暫く手で顔を覆い、恥ずかしさを紛らわす仕草をする、がどうやら違った。
「そうだ、それは僕、いや僕達が検証して、あと一歩で理論も証明されるものだった」
覆った手を離した顔は別人とも思える、飄々とした雰囲気から鋭い、観察されているような視線へと変わった。
「だけど、研究の検証に使用したデータは雨の混乱から持ち出す暇もなく海に沈んでしまった。データもない、論文もない、証明してくれる仲間もいない。こんな状態じゃあ、この内容を話してもただの与太話にしか聞こえなかったみたいでね。今じゃ変態扱いさ」
「でも、私達はこの内容を回収して、信じてここに来た。かなり偶然な事もあるけど」
「不思議なめぐり合わせだねぇ。ちなみに僕は地下に避難してから今までこつこつとここに来るために登ってきてた。最後はさっきの爆発で開いたとこから登ったんだけどね」
「じゃあ、ここは」
「君たちの思ってる通りだよ。そう、これが雨を発生させているんだ」
頭上にそびえる異様な柱状結晶群。これが、雨をもたらした原因だ。
「今はありがたいことに共振も止まって、開いた穴から空気も流れてきてるから僕もアオイ君も無事だというわけさ」
周囲をスキャンしてみると、男の言うとおりこの中には通常の空気が流れ込んでいる。それが何時の空気なのか、どこから流れ込んでくるのかは不明だが、空気感染する様なウイルスも存在しないのでひとまず安心だ。
「わかったところで、ちょっと一息入れないかい?」
男が後ろを指した先には洞窟と、テントがひとつ。
戦闘後で、なおかつ覚醒した直後だ。自分はともかくアオイの身体が心配なので、言葉に甘えることとする。
?
研究者はモガリと名乗り、彼の勧めで少しばかりの食料とコーヒーを頂けることになる。だが、三人もの食料を分けてもらうには気が引けたものの、彼曰く
「どうせ今日で戦いが終わるんだ。前祝いさ」
とのことで、相伴に預かることにした。
保存食の肉と乾パンを齧り、アオイの顔も幾分か良くなった。初めてのことで、パニックを起こすかとも思ったが、精神力が強いのか、逆に既に心が砕けているのか、落ち着いていた。
戦場を経験すると、人はこうなってしまうのか。有事の際には驚
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