第2章 秘密の恋人
2-1 恋人同士
恋人同士
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」
マユミはケンジをベッドに座らせると、階下に下りて、トレイに二つのカップを載せて戻ってきた。
並んで座った二人は、チョコレートをつまみながら同じように頬を赤く染めていた。
「ケン兄」
「何だ?」
「なんか、昨日からケン兄が別人に見える」
「別人?」
「うん。もうお兄ちゃんとしては見られない」マユミは笑った。
「そう言われれば俺も」
「ケン兄も?」
「うん。って言うか、俺、結構前からおまえを妹として見られなくなってた」
「どういう事?」
「じ、実はさ……」ケンジはもじもじしながらうつむいて言った。「俺、マユとエッチしたい、ってずっと思ってた」
「そうなの?」
「うん。ごめん……」
「謝る事ないよ。あたし嬉しい」
「だ、だって、俺、いやらしい目でおまえを見てたって事なんだぞ?」
「ケン兄がさ、女なら誰でもいいからエッチしたい、って思ってたのなら、ちょっと軽蔑しちゃうけど、あたし限定だったんでしょ?」
ケンジは頷いた。
「でも、どうして?」
「おまえ、かわいいし、その……優しいし、いい匂いだし、柔らかそうだし、あったかそうだし、それに、」
マユミは笑いをこらえながら次の言葉を促した「それに?」
「お、俺さ、前に偶然おまえが部屋で着替えてるところ、見ちゃって……」
「え? 覗いてたの?」
「だ、だから偶然だって」
「ケン兄だから許す」マユミは笑った。「で、あたしの身体を見て興奮したって事?」
「興奮、って言うか……まあ、興奮なんだろうな。身体がすごく熱くなって……」
「そういう時って、男のコは一人でやっちゃうわけ?」
「うん」ケンジは真剣な顔をマユミに向けた。「一人でやって、一人でイく。そして虚しい気分に浸る」
「あははは! 大変だね、男のコって」
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ケンジはコーヒーのカップを持ち上げた。
「女子は、そんな風にはならないのか?」
「そんな風?」
「かっこいいオトコに抱かれるのを想像して、興奮して、自分で身体を刺激して慰める、とか……」
「あんまり聞かないし、あたしもそんな事、した事なかった。でもね、」
マユミは恥じらったように上目遣いで言った。「ケン兄に抱かれる事を想像して、最近自分でやったりしてたんだ」
「えっ? そ、そうなのか?」
「うん」
「お、俺とエッチしたかった、って事?」
「そうだよー」マユミは照れくさそうにケンジの右腕に自分の両腕を絡めた。「だから、昨夜はとっても嬉しくて、幸せだった。願いがなかった、って事だから」
「お、俺もだ、マユ。俺も昨夜は天に昇るような気持ちだったよ」
「そう……良かった。あたしたち、想い合ってたんだね、壁一つ隔てたところで」
「そうだな」
穏やかに長いため息をついた後、ケンジは言った
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