第1話 別の世でも血生臭さからは離れられず裏の仕事に今日も勤しむ
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いささか興奮しているのか、雷画の手が止まる。
「そんなつもりはなかったんじゃが・・・・」
「じゃあ、一体どういうつもりで言ったんじゃい?そもそも、あの二人の仲を引き裂けとでもいうのかぁ!!」
バチッッ!
再度叩き付けるように持っていた歩を進める。
「別にケンカ売っとる訳じゃ無いわい。近々、少子化対策による例の法案がこのまま可決されるらしいからのぅ。そうなれば何の問題もあるまい」
「十分あるわい!そもそも、今時のわしらの様な老いぼれや親の取り決めた嫁婿を生涯にかけて共にさせるなぞ流行らんぞい。更に言うなら、儂んとこのと百代ちゃんは会った事なぞないじゃろうが」
「むぅ・・・・じゃあ、もう一つの件は如何じゃ?」
パチッ
気づかない。
「もう一つ?―――――ああ、あれか。あっちも駄目じゃよ。そもそも本人が拒否の姿勢を示しとるんじゃからのぅ」
パチッ
(ん?)そこで雷画だけは気づく。
「勿体無いのう。彼なら即時《天下五弓》・・・いや、射する得物を選ばずに間違いなく天下を取れるじゃろうに」
パチッ
そのまま気づかず鉄心は駒を進める。
「それについては同意するがのう。本人曰く、「強すぎる力は争いを呼ぶから」という事じゃよ。事実、今の世の中は強い名声に怖れを抱かずに挑戦心溢れる武闘家が多すぎるわい。あ奴は自分の力は人前で見せびらかしたくて付けたわけじゃないとも言って負ったからのぅ」
パチッ
鉄心が気づかないのを良い事に、虎視眈々と手を進める。
「むぅ」
パチッ
やはり気づかない鉄心。
「お前さんの企みならわかっとるわい。大方、戦闘に魅入られている百代ちゃんの戦闘欲を抑えるために、あやつを利用したいのが一番の本音じゃろう?他の存在を利用してまで自信の悩みを解決させようなどと元とは言え、かの武神も地に落ちたのぅ」
パチッ
このままいけばあっさりと―――。
「くぅぅ・・・。そ、そう言えば、彼は今何しとるんじゃ?」
パチッ
もはや手遅れ。
「急な話題変更などとは見苦しいぞい?鉄心。じゃが質問には答えようかのぅ。今、あやつはアメリカに行っとるワイ。ちょっとあやつ専門の仕事を頼んでいてのぅ。・・・・あとの、終いじゃ」
パチッ
これで止め。
「ん?・・・って!?王手じゃないかい!!」
鉄心は盤上でも追いつめられた。
−Interlude−
死徒。
それは現代の吸血鬼であり、人に似て人に非ざる化け物。
死徒にとっては自身の意思で同じ存在にする事も可能であり、兵隊にする事も可能であり、或いは餌位にしか思っていない元人間だ。“彼”のいた世界ではの話だが。
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