第二部
第二章 〜対連合軍〜
九十八 〜虎牢関〜
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数日が過ぎた。
戦は避けたいという月の願いも空しく、続々と敵軍の情報が集まっていた。
「袁紹殿も、連合軍に参加ですか」
「一族からの突き上げが尋常ではなかったみたいですねー。勅許を得ているのに何を躊躇するのだと」
麗羽だけではない。
華琳、それに白蓮も加わったとの事だ。
「それに、劉表に劉璋、それから徐州刺史の劉ヨウ。そして総大将は袁術……大陸中殆ど敵に回ったようなものね」
詠が肩を竦める。
「うむ。だが、翡(馬騰)だけは参加せぬようだな」
「はい。思いの外、病状が重くて起き上がる事もままならないと」
「それに、羌賊も不穏な動きを見せているとか。東西から挟撃される事がなくなるのは助かりますねー」
実際、翡の事は風聞に過ぎぬ。
だが、真偽を確かめるべく涼州にまで出向く余裕などあろう筈がない。
無論、疾風にもそのような指示は出すつもりもなく、また当人も噂を集める程度に留めているようだ。
「月も、翡や翠と戦わずに済むのは嬉しい、って。ボクとしても、月が落ち込む要素が一つでも減るなら大歓迎だし」
「とにかく、これで敵は東からやって来る事が決まった訳だが。そうなれば、戦場はシ水関だな?」
「そうなりますね。そして、虎牢関と」
「この二つの要塞を抜くのは至難の業でしょうけどねー。糧秣との相談にもなりますが、守備に徹すれば負ける事はないかとー」
「そうね。幸い、将は揃っているし。この洛陽が危機に陥る事はないわね」
その通りであろう。
閃嘩(華雄)を斬る役目であった筈の愛紗は、共に味方だ。
恋と戦う筈の鈴々も、また然り。
それのみならず、疾風に彩(張コウ)、星まで此方にいるとなれば、私の知る歴史とは比較にならぬ。
「問題は、その糧秣ですね」
禀の言葉に、風と詠の顔が曇る。
「朱里ちゃんと雛里ちゃんが頑張ってかき集めていますが、干魃と蝗の影響で去年は凶作でしたからねー」
「その上、歳三が来るまでは大っぴらに動けなかったのが痛いわ。お陰で、準備が殆ど出来ていない状態だから」
交州から運べれば良いのだが、劉表が黙って通す訳がない。
いや、劉表ではなく蔡瑁が、だな。
輸送を妨げるどころか、寧ろそれを襲おうとするやも知れぬ。
結論として、持久戦には持ち込めぬと言う事だ。
正確な数は不明だが、敵軍の規模は少なく見積もっても我が軍の数倍。
短期決戦は、向こうの思う壺としかなるまい。
「関を活かしつつ、糧秣が尽きる前に勝負を決める……なかなかに難題だな」
「ですが、やるしかありません。我々には後がありませんから」
「風も、負けるのは趣味じゃありませんしねー」
「当然よ。月には指一本触れさせないわ、ボクの全身全霊をかけてね」
「うむ」
負ける喧嘩はせぬのが私の主義。
だが、
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