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Myth10-B嵐の前の安穏〜魔神の剣槍
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感謝する。

「貴方にそこまで喜んでいただければ、技術部のみなも大変喜ぶでしょう」

クラウスの用事であったデバイスの部品を受け取った私は、ようやくデバイスを完成させる事が出来る喜びに興奮しながらアムルへ帰還した。ちなみにここまで案内してくれたメイドは別の仕事があったらしく、会えずじまいだった。アムルの街路を歩いてシュテルンベルク邸に向かう中、手に下げたケースに何度も目が行く。

(早速デバイス作成の続きといきたいな)

屋敷の正門から玄関へと続く道を歩いている中、屋敷の窓から庭を眺めていたエリーゼと目が合ったため「ただいま、エリーゼ」と挨拶すると、エリーゼは「あ、お、お帰りなさいオーディンさん」と挨拶を返してくれたが、すぐに顔を赤くして気まずそうに姿を消した。
昨日の事が原因だ。ターニャの謀略(子供に何をさせているんだか)によって、私の前で下着姿を晒す羽目になったエリーゼ。奥の部屋に連れ込まれた後、男が聞いてはいけない内容の話し声が漏れてきたために、私は2人の声限定で聴覚封印を行った。私に用事が出来れば、体に触れて教えてくれると思っていたから、2人の声を封じても問題ないと思ったんだ。

(しかしまぁそれが仇になるとは・・・・)

今朝も何度か声を掛けようと努力していたようで、だったら私は待とうと考えた。結局、軽い挨拶程度なら交わせたが、長話となると駄目だった。こちらから歩み寄って逃げられてはこちらが参るし、時間が解決してくれる事を祈るだけだ。さっきまでのテンションが嘘のようにトボトボと作業室(私室とは別に用意された部屋だ)へ向かう。その途中に通り過ぎる事になる自室。その自室の扉が開いて、アギトが出てきた。

「あ、マイスター。お帰りなさいっ♪」

「ああ。ただいま、アギト。留守中、急患はなかったか?」

「えっと、シグナムの一撃を受けて脳震盪を起こした人が2人」

「そうか、いつも通りだな」

「うん、いつも通り」

熱心で本気なのはいいが、少しやり過ぎ感が否めない。まぁ脳震盪を起こしているのは基本的にシグナムのファンだ。木刀を振るうシグナムに見惚れている間に頭に一撃もらう。同性異性関係なく、だ。それでも騎士教室をやめることなく、何度打ちのめされようとも通い続けている。

「アギト。少し作業室に籠る。午後の診察回りは、すまないがシャマル達に任せたい」

「え? あ、うん。あたしから伝えておくよ」

「ありがとう。あとで直接シャマル達に謝らないとな」

「その方が良いと思う。じゃあマイスター。大事な用事みたいだから、その、頑張って」

「ありがとう」

礼を言い、私はアギトと別れて作業室へとまた歩き出す。作業室の奥に設けられた作業台の上に置かれている製作途中のデバイスに掛けた布を捲る。
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