暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth10-B嵐の前の安穏〜魔神の剣槍
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、おそらく今以上の速度で移動できるだろうな。そんなオリヴィエは“キルシュブリューテ”の刀身を掴んで、リサの自殺行為を阻止。

「待ちなさい、リサ。少しからかっただけだから、命のやり取り級にまで考えないで」

「オ゛リ゛ヴィエ゛様゛〜〜〜、ぐす(涙)」

「ごめんなさい、リサ」

「はい゛〜」

まぁ一件落着ということで。さて、改めて、今日の治療の仕上げと行こうか。オリヴィエにもう一度椅子に座ってもらい、両手を取る。使用術式を選定。クラスは中級、効果は補助・治癒。

――傷つきし者に(コード)汝の癒しを(ラファエル)――

「ん・・・・」

オリヴィエが小さく息を漏らす。両腕を包み込むサファイアブルーの魔力。治癒効果のあるブレスレット型自作神器・妖精の神薬(ファルマコ・ネライダ)の能力を強化し、最後となるであろう次の治療の布石とする。時間を掛け、丁寧に強化を行う。強化を終え、オリヴィエの手を壊れモノのように大事に扱ってそっと膝の上に戻し、「本日はこれにて終了です」と告げる。

「ありがとうございました、オーディン先生」

「本当にありがとうございます、オーディンさん。オリヴィエ様をお助け下さって、何とお礼を言っていいのか」

深々と礼のお辞儀をする2人に、「自らの信念の下に行動するのが、私ですから」と応えておく。さて。用事も終わったことでそろそろお暇しようかとした時、扉がノックされた。リサがオリヴィエに応対してもいいか、という視線を向け、オリヴィエは頷き応えると、リサは扉に向かう。
リサが「はい。何用でしょうか?」そう尋ねると、「失礼します。クラウス殿下がオーディン様に御話があるとの事を、オーディン様にお伝えに参りました」と、若い女性の声が返ってきた。

「判りました。部屋の外で伺いますからお待ちください」

「承知しました」

「ではオリヴィエ王女殿下、リサ。私はこれで失礼します」

オリヴィエに一礼してから、リサと入れ替わるように扉の前に立つ。2人に見送られながらオリヴィエの私室を後にし、少し離れた場所で待っていてくれた二十代前半くらいのメイドへと歩む寄って行く。「お待たせしました」と言うと、そのメイドは「いえ。ではこちらへ」無表情かつ感情の籠っていないかのような声で応じ、オリヴィエの私室のある離宮ではなく、本宮に在るクラウスの私室へと案内し始めた。

「「・・・・・・」」

本宮に入ってからも変わらず互いに無言。しかしすれ違う騎士には、武器を胸に掲げての礼の姿勢を取る者が大半。中には先の戦で見知った者も居た。私相手に緊張しているのか動きが硬かった気がする。で、他のメイドともすれ違い、私に微笑みながら僅かに手を振って挨拶をしてくれる。

「段差がありますので、ご注意ください」
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