第6章 流されて異界
第99話 オマエの物は俺の物?
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ったら、試験の終わった後よね」
何かを思い付いたような雰囲気のハルヒ。……と言うか、俺の経験によるとこの手の雰囲気を発するヤツは禄な事を考え付いていないと相場が決まっている。
……それならば。
「成るほど、判ったハルヒ。皆まで言うな」
これ以上、彼女に会話の主導権を握らせなければ何とかなるかも知れない。もっとも、俺の話や提案など聞く耳を持っていない可能性が高いとは思いますが、万にひとつの可能性程度ならばある。そう考えて、彼女が何か言い出す前に待ったを掛ける俺。
「何よ。何が判ったって言うのよ?」
少し怒ったような口調及び語気。しかし、彼女が発して居る気の中には微かな疑問が含まれる。何と言うか、本当に判り難い。気を読む人間でなければ、彼女が疑問を口にしている事さえ気付き難いでしょう。
ただ、少なくとも一切の聞く耳を持っていない訳ではない、と言う事は判りました。
「十二月六日の夜に靴下を用意して置いてくれたなら、俺がちゃんと金貨を三枚届けてやる」
体重を背もたれに預け、胸の前でエラそうに腕を組み、妙に真面目くさった顔でそう話し始める俺。
そうして、
「後は、煙突から落ちて来る三枚の金貨をその靴下で見事に受け止める事が出来たのなら、オマエさんは間違いなく結婚出来るように成る、と言う仕組みやな。
良かったな、ハルヒ。これで将来は安心やで」
……と、最後に軽く二度首肯いた後に、したり顔でハルヒを見つめた。
もっとも、これはひとつの困難な任務をやり遂げた漢の顔でもあるのですが。
しかし……。
「あんたは、その日が命日にならないように、ちゃんと試験勉強をしていなさい」
そもそも、それはそう言う内容のゲームじゃないし。
俺の話した内容の元ネタを明らかに知って居る口振りでそう答えたハルヒが、俺を冷たい瞳で一瞥した後、最後に残った菓子パンに手を伸ばした。
尚、この話の元ネタ。十二月六日とはサンタクロースの元ネタのひとつ。聖ニコラウスの命日。いや、聖人暦に記された聖名祝日と言う事。
もっとも、サンタクロース自体は、その聖ニコラウスだけではなく色々な神話や伝承の集合体であるのは間違いなさそうなのですが。例えば、北欧神話の主神オーディンなども取り込まれていたと思いますし。
どうも、黒いサンタと白いサンタが居るのが基本のようですし。
ぼんやりとそう考え、ハルヒが菓子パンを口に運ぶ様を見つめる俺。
……ん? 最後に残った菓子パン?
「――! 俺の昼飯がもう残っていない!」
反射的にそう叫んだ後に、もう一度確認の為にふたつ並べた長テーブルの真ん中を見つめる俺。しかし、何度見つめようと、其処にはひとつのパンさえ残って居る訳はなく……。そこからハル
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