第6章 流されて異界
第99話 オマエの物は俺の物?
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言うか、退魔師としての仕事や修行に追われて居たから……。
故に、余り同年代の美少女と言う存在に見つめられると言う事がなかったし、更に言うと親しく付き合った事などない。
しかし、ハルケギニア世界に召喚されてからは……。
そう、何時の間にか美少女に見つめられる事にも妙に慣れて仕舞った自分がここに居る事に気付いたのだ。
いや、それだけなら未だしも、こんなに近くに彼女らが居る事に違和感……緊張のような物を一切感じていない自分自身に、妙な違和感を覚えたのだ。
元の世界。この世界でもなければ、ハルケギニア世界でもない、元々、俺が暮らして居た世界に帰った時、世界を構成する色が急に褪せたように感じるんじゃないのか、などと言う、訳の判らない考え……不安が浮かぶ俺。
しかし、ハルヒは俺の思考が明後日に向かっている事など気にする訳もなく、
「あんたの誕生日って、確か十二月よね?」
三つ目の菓子パンの袋に手を伸ばしながら、そう問い掛けて来るハルヒ。その瞬間の彼女から、少し彼方の記憶を呼び覚まそうとする気が発せられた。
成るほど。そんな個人的な事も教えて居たのか、異世界同位体の俺は。
本当に割と親しい関係を築いていたと言う事なのでしょう。この涼宮ハルヒと、俺の異世界同位体は。
「あぁ、俺の誕生日は――――」
元々暮らして居た世界では仲間……退魔を生業とする仲間と言う連中は居たけど、彼、彼女らを友達と言うのは少し違う。まして、ハルケギニア世界でも縁を結んだ相手も友人と言うのは少し難しい。
そう考えると、この涼宮ハルヒと言う少女は貴重な相手なのかも知れない。
異世界同位体の俺に取っては――
そんな事を考えながら、答えを返そうとする俺。
しかし、その時、
「彼の誕生日は十二月六日」
三度、彼女の口から為されるネタバレ。
既に食事も終えたのか、コーヒーカップからゆっくりと立ち昇る湯気の向こう側から俺とハルヒのやり取りを見つめ……。いや、おそらく瞳には映していたけど、何の感情も籠らない瞳で見つめ続けるだけで有った万結が俺の言葉を続けたのだ。
しかし、俺の異世界同位体はそんな事までも万結や長門さんに言っていたのですか。
確かに、ハルヒにも誕生日を教えて居たようなので、もっと近い関係に有った。二月の事件の際に共に事件を解決する仲間として行動したらしい二人には、その程度の事を教えて居たとしても不思議ではないのですが……。
ただ、この二人は、自分から俺の誕生日を知りたがるとはどう考えても思えないので、俺が彼女らとの会話を繋げる為に、適当に繋いだ内容の中に俺の誕生日の話題が有って、その日付を正に機械の如き正確さで万結が覚えていただけの事だとは思いますが。
「十二月六日? だ
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