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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第99話 オマエの物は俺の物?
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因子を植え付けられた存在。
 まして、その因子を植え付けた存在と言うのがどうやら這い寄る混沌ニャルラトテップだろうと思われているようなのですが、あの夢の世界に敵として登場したのはそのニャルラトテップの化身、奇形の君主アトゥ。

 可能性としては、今、俺が経験しつつあるこの世界が湖の乙女の言う前世である可能性が非常に高い。
 但し、過去……湖の乙女に取っての過去の改変が既に改変された結果として異世界同位体の俺の代わりに、ハルケギニア世界にタバサに因って召喚され、黄衣の王に因って異世界に放り出された俺がこの場所に存在して居るのか、それとも、未だ改変は完全に為されては居らず……。
 彼女。長門有希の元から去った俺が、二度と彼女の元に戻って来る事のない未来が待ち受けて居るのかが分からないのですが。

「基本的人権がどうのこうのと言いたいのなら、今度の学期末試験をちゃんと赤点なしで乗り切って見せなさい」

 そもそも、四十点以下の得点なんてどうやったら取れるのか、教えて欲しいぐらいよ。
 少しの間、心ここに在らず、の状態で思考を別世界に飛ばして居た俺。そんな俺を現実世界に引き戻すハルヒの一言。

 しかし、赤点か。俺的には去年の……。二〇〇二年度の二学期の学期末テストは、赤点回避の為に死ぬほど英語だけをやった辛い記憶しか有りません。実際、ケツに火が付かない限りやらない自分が悪いのですが、赤点を取った生徒には冬休み中、楽しい補習授業が他の生徒の五割増で待って居る、などと言われたら、本気に成るしかないでしょう。
 只でさえ嫌いな勉強。その中でもトップの英語をずっとヤラされるぐらいなら、その前の段階。試験勉強を死ぬほどヤル方が俺的にはマシなように感じましたから。

 しかし……。
 俺は、妙に明るい蛍光灯の明かりに照らされた文芸部の部室を一度ゆっくりと見渡してから、少し……ややわざとらしくため息をひとつ吐く。
 そう。現状の自分の置かれた状況は、ため息を吐くしか方法が有りませんから。まさか次元の壁を越えた世界。それも、つい二週間ほど前までは西洋風剣と魔法のファンタジー世界でクトゥルフの邪神と戦っていた人間が、次は現代社会の高校で学期末試験を受けなければならなくなる。
 それも、既に一年前に受けたはずの高校一年生の二学期の学期末テストを。

 本当に、世界は何が起きるか判らない闇鍋状態だと言う事を身に染みて感じる俺。

「そう言えば、さぁ」

 二つ目の菓子パンを食べ終え、紅茶の御代わりを朝比奈さんに要求した後、ハルヒが俺の顔を見つめて来る。
 ――その時、微かな違和感。
 俺の口はあまり宜しくないし、少しぶっきらぼう。元々暮らして居た世界ではそう目立つ存在でもなければ、実はあまり暇でもなかった。
 生活に追われて居た、と
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