最終話 皇帝への道
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が分散してくれるかどうか、そこが勝負の分かれ目か」
「ああ」
爺さんの言う通りだ。反乱軍が分散して俺を包囲しようとするなら俺にも勝ち目は有る。
「急げよ、ミューゼル。いやローエングラム伯か。前回の戦いじゃ第十、第十二が出てきた。かなりの損害は与えた筈だ。急げばあの二つは出て来ねえだろう。問題は第五艦隊だな、ビュコックか、野郎も兵卒上がりだ、気を付けろ、しぶてえぞ」
「そうだな」
反乱軍の精鋭部隊と言えば第五、第十、第十二艦隊だ。爺さんの言う通り、出兵を急げば二個艦隊は出て来ない可能性が高い。つまり反乱軍が分散してくれれば兵力差で撃破出来る可能性は高いという事だ。そこに活路が有るだろう。
「ボンクラ相手なら十分に勝ち目は有る。問題は味方だな」
「ああ、贅沢は言わない。特別出来る奴じゃなくても良いんだ。ごく普通なら……」
「お前、それは十分に贅沢だぞ」
爺さんがボソッと呟いた。そうだよな、連中がそんな奴を選ぶはずがない。溜息が出た……。
帝国暦 487年 1月 10日 オーディン アロイス・リュッケルト
「行くか」
「ああ」
「気を付けろよ」
「分かっている」
フン、小僧、随分と気合が入っているじゃねえか。新無憂宮では落ち込んでいたが立ち直ったか。良い事だぜ、総司令官がしょぼくれてたら兵達が落ち込むからな。
宇宙港は見送りの人間で溢れている。しかし小僧の見送りは俺だけだった。ロイエンタールもミッターマイヤーも新たに与えられた艦隊の訓練に出ている。見送りよりもそっちを優先しろと小僧が言ったらしい。
「爺さん、思ったより悪い人選じゃなかった。何とかなりそうだ」
「そうか」
遠征軍の陣容はメルカッツ大将、シュターデン中将、エルラッハ少将、フォーゲル少将、ファーレンハイト少将。俺が知っているのはメルカッツとシュターデンだ。メルカッツはまともだがシュターデンは口だけの役立たずだ。こいつも苦労するぜ。
「キルヒアイス大佐」
「はい」
「伯爵閣下を頼むぜ、分かっているとは思うけどな、この閣下は敵が多すぎる」
「はい、分かっています」
キルヒアイスが穏やかな表情で答えた。大丈夫かな、まあ大丈夫だろう、こいつなら。
「ちょっと良いか?」
「ああ」
小僧に一歩近づいた。どうしても聞きてえ事がある。耳に顔を寄せた。
「おい、どこまで行くんだ? 帝国元帥で終わりか?」
小声で問い掛けると小僧がじっと俺を見た。
「この帝国の皇帝になる、そして宇宙を統一する」
同じように小声で答えてきた。なるほどな、道理で野心満々な眼をしている筈だ。覇気も有る。妙な小僧だと思っていたがそんな事を考えていたか。
「出来ないと思うか、爺さん」
「いや、お前さんなら出来るだろうよ」
小僧
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