第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
化け物
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や、掌の辺りから血が溢れ出ている。地面に転がって痛みに絶叫を上げるマナに、観衆たちが目を見開く。
「マナ!!」
「大丈夫か、マナ!?」
「しっかりするってばよ、マナ!」
「マナ、どうしたのよ!?」
「嘘、だろ……? あの女、我愛羅に傷を負わせた……? 一体どんなトリックを使ったって言うんだ?」
「一体いつの間に……ッやっぱりあいつはあいつの言うとおり、“化け物”なのか……!?」
木ノ葉陣が一斉にマナの名を呼び出す一方で、カンクロウとテマリは驚愕に目を見開き、冷や汗を垂らしながら蹲る弟を見つめた。その情景を見て、バキは思わず息を呑む。
――これが狐者異……“怖い”の名を得たものたちの力か!
我愛羅が左腕を持ち上げて、す、とマナを指差した。砂がずるずると持ち上がり、再びマナ目掛けて走っていく。やめろ、とカンクロウが思わず声を張り上げ、テマリはそっと片手をその腕に置いた。
「――そこまで」
「ユナ、さん?」
我愛羅とマナの真ん中に立った白い腕の女性に、ハヤテは思わず目を見張った。「ユナ」、それはユナトの愛称だ。
「これ以上の試合は禁止するよ。勝者は我愛羅くんってことでいい。それでいいよね、ハヤテ?」
「――構いませんが……」
「……何故だ? 何故止める……ッ!」
呻きと怒りの入り混じった声を立てた我愛羅に向き直ったユナトの顔を見て、バキは僅かに顔をしかめた。彼女の雰囲気は異様であった。彼女は木ノ葉と言う場所にあまり溶け込んではいないように見えた。
「これ以上続けては意味ないって判断したからだよ。この通り彼女は右腕が使えなくなっちゃってるんだ、印を組まなくても砂を操れる君とは違ってね。それに君が彼女を殺したって、どうせ彼女と同じ場所にダメージ受けて死んじゃうだけじゃないかな? 例えば心転身した相手の体が傷つくと、自分も傷つく、みたいにさ。あ、でもこの例えがわかるのって山中一族ぐらいなものかな? あ、そーかそーか、わかりにくいか。ごめんね、我愛羅くん」
「マナっ! 大丈夫かっ、マナ!!」
にっこりと微笑するユナトの背後にハッカが飛び降り、慌ててマナの体を助け起こした。ヒルマが医療班を呼び寄せ、矢継ぎ早に指示を出している。腕の付け根、肘、手首、手のひらから血を流し、出血多量で死に掛けてしまっているマナは応急処置を受けた後に慌てて担架に乗せられ運ばれていき、ヒルマが我愛羅も早く担架へと急かした。
「ほら、早くッ!」
「……必要ないっ……ぐっ!」
「必要ないとか冗談じゃありません、いいから担架に乗ってください!! 白眼で見たところ、骨がボッキボキになっちゃっているんです、ほら、早く!!」
急かされて、我愛羅は不承不承ながらに医療班についていった。我愛羅が医療班と共にいるという
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