暁 〜小説投稿サイト〜
木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
化け物
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ていたマナの顔に跳ね返り、唇に、鼻に、額に、目元に散る。
 
「……なッ!?」
「だって本物の化け物は、アタシだから」

 ――その証拠に、アタシは、死の森で、サクラを食べようとしたんだよ
 血と土と汗の臭い。戦いの臭い。
 それは空腹していたマナをひどく惹きつけた。少女の柔らかな体も、その体につき始めた脂肪も、汗も、血も、土も、涙も。食べてしまえば。食べさえすれば。もっと強くなれると思った。
 狐者異一族は空腹ゆえに食べるのではない。力を求めるために食べるのだ。そして、貪欲がゆえに食べるのだ。
 ――最低なんだ最低なんだ、アタシ、最低、なんだ
 倒れたいのとサクラの魅力的なこと。食べちゃいたい。食べたらどんな味がするのかまで想像できるくらいにマナは飢えていた。
 そして、今も。
 ――お前は人のこと食べたくならないだろ? でもアタシは食べたくなるんだよ。食べたら強くなれる気がするから

 +

「最低だったんだよ」

 「後の」少女は泣いていた。それを冷たく見上げていた“それ”が、口を開いた。

「それで、今も最低なんだろ」

 +

 連続で吐き出された唾液弾に、砂がどろりと溶解した。空へと飛び上がり、目標たる我愛羅めがけて急降下。空中から何発もの唾液弾を吐き出し、一点へと集中攻撃。砂が開いた穴を補う暇もなく飛んでくる唾液弾に、我愛羅は一瞬戸惑ったが、しかしそれもあくまで一瞬。砂の指が再び伸びて、今度こそマナを捉えた。

「――俺が化け物でも、お前が化け物でも、それはどうでもいい。それは関係ない」

 ばしりとマナの小柄な体を地面に叩きつける。げほっ、とマナが血を吐いた。かなり大量の血だ。立ち上がろうとすると、血で手を滑らせてしまった。何度も滑りかけ、擦られた血の跡を床に残し、足元をぐるぐる回る我愛羅の砂が自分の血を攫うのを視界の隅に捕らえながら、なんとか立ち上がろうとする。けれど砂の指は既にしっかりとマナの掴んでいた。

「この試合に於いて重要なのは、おれがお前を殺すということ。ただ、それだけだ。――砂漠柩!」

 テマリはぱっと反射的に顔を逸らし、カンクロウはまるで殴られたかもしたのように頭を後ろにひき、バキは唇を噛み、きっと今に聞こえてくるであろう、少女の肉がつぶれる音を想像し、そして彼女を哀れに思った。
 けれど不思議なことに、マナの右腕を覆い、潰そうとした砂は、彼女の右腕に僅かな圧力を与えただけで、さっと弾かれたように彼女の元を離れた。

「何ッ!?」

 我愛羅がどさ、と膝をついた。だらりと下がった右腕を握り締めて呻き声を立てている。その身に纏った砂の鎧がぼろぼろと崩れ落ちた。
 対するマナの右腕は更にひどいことになっていた。腕ごと黒く変色し、腕の付け根や、肘や、手首
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