悪魔の島編
EP.19 S級クエスト解決
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を揺らしながら、ウルティアは彼に近付き謝罪する。
「ごめんなさいね、ジークレイン様。あの女の力があそこまで強いとは……」
「そう言うな、ウルティア。俺はお前の母を尊敬している……生きていれば、間違いなく聖十大魔導になっていただろう」
そう言い、胸にかけたペンダント――十字架と四葉のクローバーを模した聖十の証を手にしながらジークレインは振り向いたのだが……その証は手放され、再び彼の胸元で揺れる事になった。
「おい、なんだ……その、顔、は……ぷくく……はっはっはっはっは!」
「……」
絶句したかと思えば吹き出し、腹を抱えて爆笑し始めるジークレイン。
不機嫌そうにむすっとしていたウルティアの左の頬が――ガーゼで一応治療されてはいるものの――オーブンで焼いた餅のように腫れていたのだ。
当然ながらウルティアの方は愉快などとは程遠く、ジークレインの左の頬を手で思いっきり引っ張る事によって強制的に彼を黙らせた。
「髪と顔は女の命なの。お分かり、ジ・ー・ク・レ・イ・ン・さ・ま?」
「…………肝に銘じておこう」
「まったく……!」
よほど腹に据えかねていたのか、手を放しても青筋を浮かべて相当の怒気を放つウルティアに、ジークレインは痛む頬をさすりながら白旗を上げる。この特別性の思念体が消えかねない程に、彼女の怒りようは凄まじかったのだ。
だが、まだ聞きたい事はある。ジークレインはまだ怒りの冷めない彼女をなるべく刺激しないように言葉を選びながら尋ねた。
「それで……黒き閃光と戦った感想は?」
「……流石に強かったわね。『力』を開花させていないのにあの強さ……次の聖十候補筆頭だけはあるわ」
「そうでなくては困る。俺の理想のためにも、散るその間際まで輝いてもらわなくてはな」
不機嫌な様子から一変、真剣な表情で感想を述べるウルティアに、ジークレインは逸る心を抑えるように拳を握りしめる。野望に燃えて笑みを燃やす彼を肯定するように微笑むウルティアだったが、胸中ではまったくの反対の事を考えていた。
「(残念だけど、ジークレイン……いえ、ジェラール様。ワタル・ヤツボシはそうならない。なんたって彼は……私の望む新世界への鍵ですもの)」
ウルティアにとっては、目の前で笑う男は彼女の手で踊る憐れなマリオネット、道化でしかない。ジークレインに一片の疑念すら持たせる事なく彼を嗤うと、いかにも腫れた頬が痛むかのように手で押さえ、彼女は思考を続ける。
「(それにワタル。私はどんなことをしても欲しい物は必ず手に入れる女……この頬の借りもあるのだから、楽しみにしていなさいね)」
ほんの一分ですら、その狡猾さや野望を感じさせることなく、彼女もまたジークレインの様に野望に燃え
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