悪魔の島編
EP.19 S級クエスト解決
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すぐ彼に触れて先程の続きをせがみたい――そんな少女じみた想いに蓋をして、一刻も早く彼の重荷である自分から、共に荷を支える存在になろう――そう肝に銘じたのだ。
「(ワタル、私は強くなって見せる。だから――――)」
キスはその時まで我慢しよう。
エルザはそう誓うと、ナツが石突を殴ると同時に、紫色の月目掛けて思いっきり“破邪の槍”を投擲した。
村人を蝕み、間接的とはいえワタルの精神への負担となっているものを破壊するための……そして、彼女の誓いを確固たるものにするための一撃。
「届けぇぇえええええええええええっ!!!」
それは空高く上り――――天を破った。
「え!?」
「月!!?」
「これは……」
「割れたのは月じゃない……空が割れた?」
ナツや村人たちが驚愕して、ルーシィが困惑して呟く。そんな彼らをよそに、ワタルは靄が晴れるかのように気分が晴れていくのを感じ、深呼吸と共に大きく伸びをする。
「あー、いい気分。やっとスッキリした」
「どういう事なんだ、ワタル?」
ワタルの隣に居たグレイは他の者と同様に驚愕していたが、ワタルの言葉に質問した。
凝り固まった関節ほぐすように首や腕を回しながら、ワタルは答える。
「んー、そうだな……まず、この島の上空は魔力の膜で覆われていたんだ」
「魔力の、膜?」
「そ。邪気と言ってもいい。簡単に言えば月の雫の儀式によって発生した排気ガスだ。それが結晶化していたため紫色の膜が島を覆い、それを通して見ていたから月が紫色に見えていたって訳だ」
おかげで今まで息苦しくてしょうがなかった、と晴れやかに伸びをしながら、聞き返したハッピーに答えるワタル。
説明の最中にも、エルザの“破邪の槍”によって魔力の膜はみるみるうちに退けられ、遮られていた本来の月光が島に降り注ぐ。それは村人たちの身体に光が現れる事によってはっきりと知覚でき、その光景にルーシィは感嘆の息を漏らした。
だがその光を浴びてなお、村人たちの姿は異形の悪魔のままであった。
「元に戻らねえ、のか……?」
「そんな……」
「いや、これで全て元通りだ」
ワタルはそういうと、見張り台の方を向く。見ればナツも驚愕しているようで、エルザが彼に何かを話している。ナツへの説明は彼女に任せればいいとして、ワタルは説明を待つグレイたちの方へ向き直ると、口を開いた。
「月の雫の残滓が冒していたのは彼らの『姿』じゃない――『記憶』だ」
「……まさか……」
ここでグレイ、ルーシィ、ハッピーは冷や汗と共に思い出した。村が再生する前、遺跡に再突撃する前、ワタルが何といっていたかを。
『彼らが悪魔の姿になってしまうのは3
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