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センゴク恋姫記
第4幕 権兵衛隊長始末記
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、聞くわね? それで? 私に何を出せと?」
「……それが、え〜……色々と前借りで酒やら飯やら振る舞っていた手前……」
「……その不足分を、わ・た・しに、負担しろというのかしら?」
「…………誠に申し訳ないのですが…………へい、その通しでして」

 頭を下げたまま、そう答えるゴンベエ。
 それを冷たく見ていた曹操は、盛大に溜息をついた。

「あなたねぇ……新規の隊を任せるにあたって、軍資金を渡していたでしょうが。あれはどうしたっていうのよ」
「あれは……その、部下たちが街のゴロツキを取り込むための軍資金に渡しまして……わしの手元には、一銭も残っておらず……」
「……そりゃ、あれだけの金をばらまけば、街の不穏分子も収まるでしょうね」

 曹操がゴンベエに渡した軍資金は、今期分の治安を預かる警備隊の活動費として用意したものだ。
 仮にも街一つの警備の活動費である。通常、毎日宴会を開いたとて使いきれる額ではない。
 しかし、その効果が認められなければ即座に解散するつもりだったため、通常の活動費より大幅に減じてある。
 もちろん、効果が認められれば追加で渡すつもりだった為、問題はないのだが――

「(ぼそ)……これじゃあ、私が感心したのがバカみたいじゃない」
「……は?」
「なんでもないわよっ!」

 その手腕に期待し、それを果たしたことを内心喜んでいた曹操。
 しかし、実際にはバラマキ効果による一時的な治安回復と変わらない事に気づいた曹操は、喜んでいた自分が恥ずかしかった。
 もちろん、ただのバラマキ効果より大幅に効果を挙げているのはまさしくゴンベエの手腕ではあるのだが――

「……わかったわよ。追加の活動費は出してあげる」
「あ、ありがたし!」

 だからこそ予定通り、本来の活動費の不足分を出すのだが……なんとなく癪に障る。

「その代わり! 来月、貴方は減俸よ! いいわね!」
「ぐっ………………は、ははーっ!」

 致し方なし、と頭を下げるゴンベエ。
 実際、自分の懐は本当に一銭もない為、どうにもならない。

(とほほ……しばらくは飯をツケてもらうしかないわい)

 とぼとぼと王座の間を後にするゴンベエ。
 その背中は哀愁が漂っていた。

「……華琳様。さすがに減俸はかわいそうなのでは?」

 事情を察した夏侯淵が、おずおずと問いかける。
 それをフン、と鼻息で一蹴する曹操。

「減俸した分は、活動費に含めてやりなさい。あと、今月末に警備隊全員に治安向上の臨時褒賞を出してやりなさい。あのバカは、きっと泣いて喜ぶんじゃないかしらね」

 そう言った曹操の顔は、小悪魔のような笑みを浮かべていたという――



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