秋桜に月、朔に詠む想い
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あるけど……こうまで違うと面白いわね」
「ははっ、ええもんやろ? 兵を鍛え上げるんはどっか絡繰り作りと似てる気ぃするわ。試行錯誤を繰り返して、何かの為になるもんを作り出す。一つの目的を達成出来るもんを作って行くんや。でも……」
言いながら、真桜は手元にあった一つの部品を手にとった。そうして小さな部品を愛おしげに指で一つ撫でる。
「人は部品とちゃう。心があんねん。でもウチら上のもんは人を部品として扱わなあかん。嫌なもんやな、ホンマに。戦ってやつは」
その言葉に自分達への疑問は無く、ただ哀しい。
自分も同じ気持ちだと、詠は言葉を掛ける事はせず、真桜が撫でる部品の一つを見ていた。
ふと、こんな落ち込んだ空気を変えたくて、詠は話題を変える事にした。
「そういえば真桜はこんな朝から何してたの?」
「ん? あー、新兵器の試行を部隊長と一緒にやっててん。早い内に末端まで教えるんは情報が漏れるかもしれへんからしたらあかんって言うてたやろ?」
確かにそうしろと指示は出ているが、難しい顔で首を捻る詠は真桜の狙いを読めず。
苦笑を一つ。真桜は真剣な表情になって口を開いた。
「なぁ、詠。強い兵器ってのは毒や。強い人ってのも毒や。飛将軍をよう知っとる詠なら……それが分かるんちゃうか?」
硬直。
詠は思考も、身体も、その一言によって固まってしまった。
「兵は弱い……ちゃうか、人は弱いで。皆が強いわけとちゃう。そいつらにとっちゃあ、なんの為にたった一つの命を危険に晒してまで戦っとるか、分からんくなってまうやん?」
哀しげな色を浮かべた瞳に見据えられて、詠は眉根をぎゅうと寄せた。
「ウチな、絡繰り好きやから分かんねん。結果を求めて作るんが絡繰りや。だから、ウチが作った投石器も、兄やんが改良を加えたコレも、どんな結果を生み出すか最初っから分かってんねん。兵器は所詮人を殺す為にあるって言うても、味方を守る為って言うても、そんな簡単に人殺せてええわけ無い。やから……兄やんはやらせておけって言いよっただけやけど、まずは指示を出す部隊長達に、作り出したウチ自らが心構えを教える必要があったんや」
「そう……ね」
「結局は人が使う道具や。扱う人の心によってええようにも悪いようにもなる。こいつらは飛将軍とか春蘭様みたいな“武将”と一緒やねん。やから、ウチらは華琳様みたいに心を強く持たなあかん」
覇王のように……詠の唇から漏れた小さな声は空に溶ける。
初めからそういった心持ちを持っていた真桜に、また詠は評価を改めた。
新しいモノを作っているという時点で、真桜は人を幸せにする術も、人を不幸にする術も理解していたのだ。沙和や凪の仕事を少なくしたくて始めた絡繰り作りが始まりであったのだから。
結果と失
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