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乱世の確率事象改変
秋桜に月、朔に詠む想い
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て!」
「よっしゃあ! そんかわし、『えーりん派』の阿呆の背中踏んづけたってな!」

 最後ににやにやと笑いながら言われて、詠はもう下らない芝居を辞め、素で反論せざるを得なかった。

「なんでボクが人の背中踏んづけないとダメなのよっ!」
「えーりん派はそういうんが多いねんて。なっ? 頼むわ♪」

 ウインクを一つ。その発言は本気なのか冗談なのか、詠には分からなかった。

「なんで曹操軍まであのバカ達みたいな事になり始めてるのよ。それもこれも秋斗が報酬効果とか言い出したから――――」

 答えを言うでも無く、ぶつぶつと苦い表情で文句を零す詠の頬は、恥ずかしさからか淡い朱に染まっていた。
 またいじわる気に笑うも、真桜はそれ以上のからかいはしなかった。

「まあ、兄やんなら大丈夫やろ。兵達の間に流れとる話も三人が作るお菓子試食出来たりする兄やんが羨ましゅうて零れる冗談でしかあらへんし。いや……傍目からは幼女趣味にしか見えへんのは間違いないかぁ」
「……秋斗が報酬効果を思いついたのって、あんたがこれまで行ってきた練兵の仕方も原因の一つなんだけど」
「えー、結構ええやり方やと思うけどなぁ。春蘭様とか秋蘭様とか、凪やら沙和やらに目移りばっかしよるし、何よりウチの胸にくぎ付けになる男がぎょうさんおるからやってみてんで? モテたい! 可愛い女の子にかっこええ姿見せたい! きゃーきゃー騒がれたい! なんてあいつらの心を刺激しただけや」
「別に変えろとは言わないわよ……でも、ある意味秋斗のやり方に一番近いのよね、真桜って。どっちも変な方向に兵の心を誘導してバカばっかり出来上がっちゃう」
「ちょ、変な方向て……」

 秋斗の事でこれ以上からかわれるのが嫌で話題を変え、どちらも変だと言われてがっくりと肩を落とした。
 自分の隊のモノ達を思い返せば、バカだなぁと思ってしまう。悪い意味では無く、可愛らしいと思う方のバカ。

「やる気出て言う事聞くんが一番やで。新兵達を春蘭様や姐さんの部隊に送るための下準備もせなあかんから、このくらいでええねん。どっちみち三人の誰でも基礎練兵は地獄やし軍規も厳しい。異色な三つの部隊でそれぞれ新兵鍛えれば他には負けとうないって心も出る。兄やんと違うて、ウチのはただ気を抜かせる為の発言やから部隊の色とは関係あらへんしな」

 ほう、と詠は感嘆の吐息を漏らした。
 やはり華琳の見立て通りに、真桜も一角の人物に成長しているのだ。
 上と下に挟まれながらも間で取り持てる協調性。同格の二人との仲を崩さずに高め合えるのも納得が行く。
 この戦が終われば詠は彼女達を扱う立場になる。先の戦で手伝いをした為に仲は良くなっているが、将としての新たな一面も見れた事が軍師としても嬉しくなった。

「三人共が将の素質は
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