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乱世の確率事象改変
秋桜に月、朔に詠む想い
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たらもウチも、コレを使うたらきっとちょっとだけ普通の人としての感覚がズレてまうやろう。それでも、ウチらにはもう戦が起こらへん平穏な世界っちゅう欲しいもんがある。そんで守りたいと思うもんがある。やからコレを使う。使うて人を殺し、同時に人を守る。
 こないな物騒なもん使うからには強くならなあかんのはウチらの心。ウチらの主、曹孟徳様はコレを使って悪させぇへんって信じる事、そして、ウチら事態が他の奴等に対する優越感や楽な戦争に引き摺られへん事や。戦中、末端の奴等でコレの強さに楽しんどるバカが居ったら殴ってかまへんからな。あと、今の事はまだ誰にもいいなや。漏れてた時点で全員の首飛ぶで」

 頷く者達は、御意、と力強い返答を上げた。
 これ以上は何も言わない。後は自分達で考えるべきだと、真桜は主から学んでいる。
 うんうんと笑みを零して頷き返す真桜。じゃあばらして片付けて解散や、との声を以って、作り上げられた一つの兵器を皆が挙って解体していった。

 部品の各種に問題は無いかと一人で確認をしていた真桜の元に、ふと、近づいてくる影が一つ。

「お、詠やんか。おはよう。こんな朝早うにどないしたん?」
「おはよう。月の寝台が空だったんだけど、何処に行ったか知らない? 秋斗が『めも』も残さずにいなくなってるって事は護衛をしてくれてるだろうからあんまり心配してないけど」
「兄やんも居らんの? ウチも見てへんなぁ」

 そう、と一つ声を零して、詠は顎に手を当てた。
 仲間外れにされた、とでも言いたげな不機嫌な顔で思考に潜る彼女に、真桜はにやにやと頬を持ち上げる。

「早朝からいつも一緒に居るはずの男と女がいやへん……これは事件やな」

 詠に思考を任せるように言うと、じとっとした批難の目が飛んできた。
 秋斗と月、二人共がどういった人物であるかもう分かっているだろう、と。だが敢えて、詠は真桜のからかいに乗る。

「……そうね。兵達の間で最近噂が立ち始めてるけど……幼女趣味の黒い化け物が出たのかもしれないわ」
「ウチの奴等がやたら言うとったもんなぁ。三人の幼い少女を侍らせてきゃっきゃうふふしよる鬼が居るて。はっ! まさか、月はそいつに連れ去られたんちゃうやろかっ!」

 からかっているのは分かり切っているのに本気で焦ったような表情を見せた真桜。その様子に吹き出しそうになるも、詠はどうにか抑えてまた乗る。

「っ! か、かもしれないっ! 秋斗もきっと、『めも』を残す暇が無かったから助けにいったんだと思う! ああ月っ、ボクはどうすればいいのよっ!」
「任しとき。それやったらウチの隊の出番や。月と詠の為やったら、幼女趣味の黒いバケモンと戦う気概も出るやろう」
「月は可愛いから、きっと秋斗でも抑えられないわ! お願い! 必ず月を助け出し
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