秋桜に月、朔に詠む想い
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行った実験の後に吐き出す。
「り、李典様……これを俺達に使え……と?」
尋ねる兵士は僅かに声が上ずっている。実験の効果は上々……否、真桜にとっては計算以上である。
秋斗には口を酸っぱくして言われていた。この兵器を使う以上は、工作兵の部隊長達にだけ試行を見せておけ、と。
その意味を、真桜は漸く理解した。
目を細め、集まっている部隊長達に対して真桜は睨みを利かせた。
「いつも言うとるやろ? ウチと自分らは工作兵や。人殺すもん作っとる。人殺す為の罠もたっくさん仕掛ける。正々堂々真正面から行くわけちゃうから、ほとんど自分の手ぇ汚れもせぇへん。構築と設置、計算やら何やらに手と頭は使うとるけど、姐さんや春蘭様の部隊みたいに血みどろの鍛錬してるわけともちゃう。他の兵士達とは畑違いやから、気負うやろうし罪悪感もあるやろ。コレで敵殺すんも、な。それでも、ぜぇんぶ重々承知の上で覚悟決めぇや」
グッと言葉に詰まり苦い顔をした兵士達。何か言いたそうにしているが、それでも言葉を呑み込んで行く。
真桜は……悪戯っぽく微笑んだ。
「にししっ、あんたらは優しい。やっぱりウチの目ぇに狂いはあらへんかった」
此処に居るのは真桜自らが選んで部隊長に任命した者達。工作兵という特殊な部隊を用いる以上、武力知力の高さよりもその行いに溺れないような者達を選んでいた。
褒められて照れくさそうにしている彼らは、唇を引き結んでコクリと頷いた。
そして真桜は、新兵器を扱う以上、もう一度心構えを説明しておくべきと判断して口を開いた。
「強い武器やら兵器っちゅうもんは普通の人の心を鈍らせる。ウチら工作兵はその心が分かるはずや。殺意なんか無くても人は殺せるからな。遠くで人が死ぬ姿を見たり、罠に嵌まったて報告を聞くだけやったり、そんなん繰り返しとったら命を軽く感じてしまうやろ。当たり前やわな、自分の手で殺してへんねんから」
ある意味で軍師と同じような心境かもしれない。そんな事を考えながら、尚も真桜は真剣な眼差しの兵士達に語って行った。
「あんたらは兵士や。街の職人とはちゃう。こうしてウチと一緒に、人を殺す道具を作って、人を殺す道具を使って、自分の意思で人を殺しとる。罪も罰も、あるんはウチら、それを扱う人間にこそ、その責任も罪も罰もあるんや。ほんの小さな、たった一回の……指先一つの指示だけで人が何人も傷つけられる。自分の力やない、道具の力で、な」
部隊長達はゴクリと生唾を呑み込んだ。まだ、新しい兵器達は使われていない。まだ自分達はそうして人を殺していない。武器を振るった事はあっても、兵器という強大な力を使った事は無かったから。工作をして敵を倒したのとは違う、と相違点を心に留めて行く。
「ただの武器と同じなんて思いなや。あん
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