秋桜に月、朔に詠む想い
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んうんと腕を組みながら考えて、ぐるぐると回る思考に陥り始める。
「あぁ、なんやよう分からん。ホンマ、兄やんは意味わからん。うん……めんどいわっ」
苦笑を零した。
詠のように支えようとは思わない。華琳に向ける尊敬とも全く違う。
この居心地のいい関係にとりあえずは浸って過ごせば何か分かるのではないかと、真桜は思考を放棄して、
「とりあえずや、兄やんがびっくりするような絡繰り作ってみよか。くくく……細かいのやったら絡繰りえーりん、とかもええんちゃうかな」
秋斗の言う通り、乱世の間であろうと、自分の好きな楽しい事もしようと、心に決めたのだった。
〜狼と道化師〜
「秋兄様は、やっぱりズルい人です」
見上げる賢狼の瞳は宵闇色が渦巻き、昏い暗い色に吸い込まれそうな程。
声音は冷たくとも責めているでなく、秋斗の思惑を見抜いた知性の色が隠れていた。
「……」
「思いつきで、最後の一手を強化するつもりですね? 真桜さんには気付かせずに……私や詠姉さん、軍師達と華琳様が気付く程度の些細なモノで」
答える必要は無い、とばかりに無言でお茶を啜る。朔夜はむぅっと口を尖らせて、答えを言ってもいいものかと悩んだ。
「戦だし、使えるモノはなんでも使うさ。曹操殿の名を汚さない範囲でな。朔夜もえーりんも、ある程度の狙いは他の軍師から聞いてるわけだし」
「秘密基地……敵の斥候に警戒を促し、森への警戒を最大限に高めさせ、行動制限を強いる為のお遊び、ですか」
秋斗の言葉に答えてもいいととった朔夜はつらつらと説明を重ねた。
大きく漏れ出るため息は呆れから。うんざりだ、というように秋斗は首を振った。
「こんなお遊びの思いつきが戦に役立っちまう」
「逆もまた然り、です」
そうだな、と零された秋斗の声は寂しげだった。
「真桜さんのこと、秋兄様は高く評価しているんですね」
急に跳んだ話に着いて行く事はもう慣れていた。
秋斗はお茶を一口啜って、穏やかな表情で言葉を紡いでいく。
「あいつは人に兵器の怖さを教えられる。元から……自分の為であれ、誰かの為であれ、人の為になるモノを作っていたあいつは、他者を傷つけるモノがどれだけ怖いかを分かってる。だから……安心して俺が持っている知識を吐き出せる」
「盗まれたら悪用されますが」
「そんなもんは世の常だ。そういった技術を悪用出来ない世の中にするのがこれからの権力者達の責だ。それにどっちみち……いつか来る大陸の、五胡のさらに外からの侵略を守る為には、もっと上位の兵器は必要な力だしな」
息を呑む。
天下統一を為して、五胡からの侵攻を跳ね返し続ければ安定を
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