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乱世の確率事象改変
秋桜に月、朔に詠む想い
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前さんの立てる道筋で構わん。でも、不可測だけは気を付けろよ?」

 ズレてしまった思考を戻し、話半分であろうと既に聞いていた道筋を肯定。最後に付け足すのはどんな状況でも起こり得る予想外の出来事への注意喚起。

「不可測……全て捻じ曲げてしまえばどうと言う事は無いと思いますが……」
「まあな。盤上を引っ繰り返すのはきっと鳳統ちゃんがやってくれるだろうし」
「です。目の前で、起こる事は秋兄様と華琳様で捻じ曲げてしまえますから問題は無いかと」
「でもなぁ……曹操殿がアレを欲しがるかも分からん」
「必ず欲しがります。私では、分かり得ませんでした。でも秋兄様は気付けました。なら華琳様は、必ず気付いていますし手に入れるように動きます」
「なんでそうまで褒めるかね……お前さんならその内気付いたさ」

 ぐしぐしと頭を撫でられて、朔夜は顔を真っ赤に染めた。
 真桜は話に着いて行けない。何故、雛里の名が此処で出るのかも分からない。この二人に何が見えているのか、影も形も分からなかった。
 話の内容も飛び飛びで、何処がどう繋がっているのかすら曖昧であった。自分達が使う新兵器が、そこに繋がっているとも思えなかった。

「な、なぁ……二人はなんの話をしとるんや?」

 疑問が出るは当然。されども……

「官渡の戦の話ですが……?」

 キョトンとした目を朔夜に向けられて首を捻った。
 秋斗は苦笑を一つ落とし、これ以上は真桜の範囲外の話だと、いつものように誤魔化しにかかる。

「新兵器は官渡でこそ役に立つ……ってとこだ。何も人を殺すだけが兵器の使い方じゃない。いや、兵器の真骨頂はな、“畏れ”にある」
「畏れ……?」
「そうだ。聞いた話だけだが、虎牢関を無傷で抜け出す飛将軍となんか誰だって戦いたくないだろ? クク、それと一緒なんだ」

 自分も詠に説明していた事柄であるからどういう効果があるかは理解出来た。
 だが、二人が描いている戦絵図を、真桜には思い浮かべる事は出来ない。

「ま、あれだ。大きく考えるのは王と軍師達の役目だ。詳しく知りたいと願うのはいい事でも悪い事でもあるんだが、自分が頭を使う部分をそんなもんにばっかり使っちゃいけない」

 ゆっくりと目の前の机で湯気を上げる湯飲みを手に取った秋斗。
 朔夜は膝の上で、秋斗のマネをして湯飲みを手に取った。彼女は秋斗が何を言いたいかを分かっているから、口を挟む事は無く、微笑みを浮かべて、秋斗と同じタイミングでお茶を啜る。
 二人してほう、と一息。続きを待つ真桜はそわそわと身を揺らしていた。

「ゆえゆえやえーりん、朔夜のおかげで娯楽が生まれたと言っても、兵も些か飽きて来る頃合いだろう。新兵器の試行も問題無く終わったから、練兵の休憩時間を長くしてその分は夜戦用訓練に
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