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無欠の刃
下忍編
弱者
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が言う『首を突っ込んでる』のは依頼だから。好き好んで、私たちが『あなた達のこと』に、首を突っ込んだ覚えはない」

 正論でまた言葉を切る。相手が子供だからといって手加減をしない。
 カトナはそのまま、きっちりと言い切る。

「というか、貴方こそ、こっちのことを知らないのに、首を突っ込んで来ないで。サクラの努力は、貴方がいう『貴方に関係無いところ』のはず。首を突っ込んで欲しくないなら、貴方のほうこそ、突っ込んでこないで」
「ちょっと、カトナ、いいすっ」
「先生。肋骨の骨って一本欠けても、生きるのには支障ないって知ってた?」

 暗に、口出してきたら肋骨を折るぞ? と脅してきているカトナの行動力が並外れており、実行しかないことを知っているカカシは、涙ぐみながらも必死に考える。
 カトナには子供だから手加減するという考え方がない。自分が子供だったときから命を狙われ続けていた彼女にとって、大人は手加減するものじゃないし、子供は手加減されないものだ。
 だからこそ、この会話で彼女はイナリを責めないという考え方がなく、容赦ない。
 そして、イナリは、苦し紛れに言葉を吐く。

 「いくら努力したって、かっこいいこといったって!!」



 「本当に強い奴に弱い奴は勝てないんだよ!!」



 それは彼女の逆鱗に触れた。

 ぴくりと、カトナが反応したと思うと、次の瞬間、彼女は後ろに背負っていた大太刀を、タズナの喉元に突き付ける。
 カカシ、サスケ、サクラが反応し、ツナミが父親を突き飛ばすよりも先に、カトナはその大太刀をもとの位置に戻すと、指でイナリを指し示す。

 「…今、安心した、貴方は『自分じゃなくてよかった』って、そう思った」

 ―図星だった。
 イナリが言葉をつまらせ、そして答えることもできずに下を向く。

 「貴方は弱いことから目を背けて逃げてる。だから、貴方は誰かを守ろうなんて思わない。弱いからじゃない、貴方が逃げているからだ」

 「…私の弟はね、私の所為で両腕を切り落とされたんだ。君が言う強者から、私を守るために立ち上がったんだ」

 カトナは目を細めて、思い出す。
 傷だらけのナルトの姿をいつでも思い出せる。
 両腕を縛られた状態で、彼は放置されていた。ナルトが居なくなってから二日たっていた。見つけるのが遅くなってしまったカトナとサスケが目撃したのは、縛られた腕が黒く変色し、痛みで呻いていたナルトの姿だった。
 すぐさま、ナルトを治療しようとしたカトナだったが、しかし、治療は出来なかった。

 …縄で固く縛られていた腕は、血が通わなくなり、壊死、してしまっていた。

 壊死は基本的にいえば腐っている状態だ。医療忍術はもともとの細胞を刺激し、回復速度を速める効能しかない
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