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剣の丘に花は咲く 
第十三章 聖国の世界扉
第二話 彼の軌跡
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ねる。

「ま、最初の頃はね。あの子ったら、事あるごとにシロウに噛み付いてたわよ。今思えばあれって、ただ甘えてただけよね」
「―――ッッ! うるさいわねっ!」
「恥ずかしがらないでもいいじゃない」
「―――ッ!!? もう良いわよッ!! で、なに? つまりあんたはわたしの知っているシロウの過去を教えろって? ふんっ! そんなのおこ―――」

 これ以上話を続けられては困ると、怒りか羞恥によるものか? 真っ赤に顔を染め上げたルイズが腕を組んで鼻を鳴らしてそっぽを向く。

「え? そんな気ないわよ」

 そんなルイズに対し、事の発端であるジェシカは小首を傾げて見せた。

「―――とわり……へ?」

 予想外の返答に、肩透かしを食らったルイズはそっぽを向けていた顔を慌ててジェシカに向けた。大きく見開かれた目で見つめられたジェシカは、人差し指を立てるとルイズの目の前でゆらゆらと揺らした。

「別にルイズにわざわざ聞かなくても、本当に聞きたいことがあれば直接本人に聞くわよ。シロウなら聞けば応えてくれると思うし……それに、多分だけど、時期が来ればちゃんと教えてくれるかなって思ってるし……ね」
「なら、何で……だって、シロウの過去を聞きたいんでしょ?」
「わたしそんなこと言ったっけ?」

 腕を組んで小首を傾げるジェシカに、指を突きつけルイズは叫ぶ。

「い、言ったじゃない。シロウの過去のことで相談したいって」
「そうよ。シロウの過去のことで相談(・・)したいのよ。シロウの過去を知り(・・)たいわけじゃないのよ」
「……あ」

 根本的な勘違いに気付いたルイズの身体がカチリと固まると、周囲からヒソヒソと話し声が上がる。

「早とちり」
「条件反射で答えすぎよ」
「っ、っ、っ、くく、も、もうちょっと周りを良く見な」
「ふふ、ルイズは変わらないわね」
「昔からああなんですか?」
「そうなのよ。ルイズが八歳の頃の話なんだけど、お父様の大切な壷を割った時、まだ何も聞かれていないのに、自分から『壷を割ったのはわたしじゃない』何て言い出したのよ。それも、まだお父様以外に壷が割れている事を知らない時によ」
「それは、もう、何と言うか、可愛いですね」
「ええ。とっても可愛かったわ」
「ちい姉さまっ?! シエスタっ?!」

 不意打ち過ぎる自分の過去の暴露に対し、ルイズは悲鳴混じりの抗議の声を上げる。そんな涙目どころか完泣きで抗議の声を上げるルイズをよそに、ズレまくる話の筋を戻すためジェシカが手を叩き自分に視線を集めだす。

「はいはいはいはい。ちょっと注目。気付いてる? 何か話が思いっきりズレてるわよ。いい? ちょっと仕切り直すわよ」
「仕切り直すって……」
「はいそこ愚痴らない。ルイズを揶揄うのは良
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