第十三章 聖国の世界扉
第二話 彼の軌跡
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る人っている?」
「「「…………」」」
人差し指を立て、ぐるりとルイズたちを見回すが、誰からも何の反応もない。
ジェシカは立てていた指を折ると、力なく溜め息を吐き、
「そ……か、やっぱり知らないか―――なんて気付かないと思ったかこの馬鹿ッ!?」
目線を一瞬逸らしたルイズへと素早く手を伸ばした。
「きゃんっ?!」
首根っこを掴まれたルイズが甲高い声を上げる。
「今一瞬目を逸らしたのを気付かないと思った?」
「なっ?! なな、な、何言ってんのよっ!? い、言いがかりも甚だしいわっ!」
「へぇ〜……言いがかり、ね」
「そ、そうよっ! 何でわたしがシロウの過去を知ってるって言えるのよっ!」
唐突に宙吊りにされた猫のように髪の毛を逆立て怒りを顕にして非難してくるルイズに、ジェシカは不敵な笑みを返す。その笑みに何かを感じたのか、ルイズが思わず口をつぐんだ瞬間、
「あなたが彼の過去を知っているとは誰も言っていない」
「え?」
予想外の方向から声が掛けられた。その場にいる者たちの視線が一斉に声が上がった方向へと向けられる。そこには、何時もの感情が見られない蒼い瞳でルイズをじっと見つめていた。予想外の人物の反応に戸惑うルイズに、平坦な声でタバサは言葉を続ける。
「目を逸らしたとしか言っていない」
「……あ」
タバサの言っていることの意味を理解したルイズが、『しまった』と書いているかのような顔で大口を開けて固まると、音もなくルイズを取り囲んだ女集がずいっと詰め寄ってきた。
「その慌てよう……やっぱり何か知ってるでしょ」
「―――そ、そんな、こと、ないわ」
「その絵の事も、あなたは事前に知っていた」
「―――ッ!? な、何で?!」
「あなただけその絵に驚いていなかった」
ぎこちなく首を振るルイズに、淡々と機械のようにタバサは迫る。獲物を追い詰める狩人の如く。誤魔化しは全く意味がなく、追い詰められたルイズはとうとう自白してしまう。
「―――ッ!? ま、まあ……少しは知ってるわよ。だって、わたしはシロウの主なんだし……でも、本当に少しだけよ……」
「そう言えば、シロウってルイズの使い魔だったわね。すっかり忘れてたわ」
「っく、くくく……ま、確かに最近じゃ、どっちが主か分からないしねぇ」
「なっ、何よッ!?」
記憶から忘れ去られていた設定を思い出し、キュルケやロングビルが『そう言えば』と手を叩くと、ルイズは顔を真っ赤に染め上げ、怒りを示すかのように身体をぷるぷると震わせた。
「へ〜〜、わたしがシロウたちと知り合いになった時にはもうこんな感じだったけど、最初は違ったの?」
ルイズと士郎が出会った頃を知らないジェシカが興味深そうにキュルケに尋
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