第十三章 聖国の世界扉
第二話 彼の軌跡
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尽くすブリジッタに顔を向けた。
「あの馬鹿が怖がらせたみたいですまないな。だが、あんな奴でも悪い奴じゃないんだ。出来れば見限らずに、長い目で見てやってくれないか?」
「っ! あ、は、はい……」
「ありがとう。君は優しいな」
「そっ! そ、そそ、そんな、ことは……」
首まで赤く染め上げ、恥ずかしげに顔を伏せたブリジッタの頭にぽんっ、と手を置いた士郎は、そのまま優しく手を動かした。手櫛で髪を梳くような優しい感触に、ブリジッタは猫のように目を細める。その様子を見ていた周囲の女子生徒たちは、マリコルヌの姿が視界から消えると一斉に士郎に向かって駆け寄っていく。
「え、エミヤさまっ! わ、わたしもちゃんとあの変た―――ゴミく―――馬―――……あ、あの人たちを見限ったりしませんわ」
「わた、わたくしもっ! エミヤさま、わたくしも彼らの事を―――」
「あたしもあたしも―――」
遠巻きに罰掃除をする騎士団を見ていた女生徒たちが士郎へと群がっていく。それはまるで砂糖に集まる蟻の如く、蟻団子ならぬ士郎団子であった。そんな、瞬く間に自分を取り囲んだ少女達に戸惑いながらも、邪険にすることなく相手をしていたためか、士郎の周囲の人だかりは時間が経つ毎に大きくなっていた。そんな様子を罰掃除をする空中装甲騎士団と水精霊騎士隊は嫉妬と憎しみの篭った視線で睨みつけていたが、士郎を取り囲む女の集団にちょっかいを掛けられる訳もなく、食いしばった口元から血を流しながらも、黙々と掃除に励んでいた。
そんないじらしくも罰掃除に励む彼らの中で、唐突に女性の甲高い声が上がる。場所はアウストリ広場の端の方。『何だ何だ何事か?』と、空中装甲騎士団と水精霊騎士隊の視線が向けられる。そこには新たな人団子が出来上がりつつあった。その中心にいるのは、
「み、ミス・アルトリア、そ、そそ、その、わ、わたくし、あな、あな、あなたの事が―――」
「アルトリア様、この後、少しお時間よろしいでしょうか?」
「わた、わたし、アルトリア様のために、ケーキを焼いたんですっ! ど、どうか―――」
アルトリア・ペンドラゴンことセイバーである。
魔法学院の女子生徒の制服を着たセイバーの周りには、下級生を中心に群がる女子の姿があった。そんな群がる女子の足元には、ワインに身体を濡らしたギーシュと何故か半裸の姿のレイナールの姿が。何故彼らがそんな場所に転がっているのかというと、つい先程の話であるが。ギーシュはたまたまアウストリ広場にいたモンモランシーに、覗きの弁解をしようと迫るがあえなく一蹴、彼女の持っていたワイン瓶に入っていた中身をぶちまけられた。そのショック故か、突如奇声を上げたギーシュ
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