第十三章 聖国の世界扉
第二話 彼の軌跡
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。えっと、タバサさんは、その、気にならないんですか?」
「気にならないわけではない」
「なら―――」
「―――束縛する気はない」
「「「―――うっ」」」
タバサの言葉に、女たちの中から数人鈍いくぐもった声が上がる。
……誰とは言わないが、小さいのと中くらいのと大きいのである。
「……えっと、その、カトレアさんはどう思います? その、この人たちのこと」
ちょっと空気やら雰囲気がおかしくなったことから、シエスタがこの集団で一番頼りになると思われる女性へと声を向ける。
「そう、ですね」
口元に指先を当てながら、小首を傾げたカトレアが『ん〜』と小さく唸り声を上げ。
「とても素敵な人たちだと思います」
ニコリと笑いながら答えた。
「はぁ……素敵な人たち、ですか?」
当たり障りのないというか、面白みのないというか……ある意味予想通りの返事に対し、シエスタは力ない声で応える。
「この人たちがいたからこそ、シロウさんはここにいる事が出来たんだと思いますから」
「そう、なんでしょうか?」
「ええ」
首を傾げるシエスタに、微笑みを絶やさずカトレアはこくりと頷いた。
「……そうですか」
「何故かカトレアさんにそう言われたらそう思ってしまう……でも、まあ、多分そうなんでしょうね」
「ま、そうね」
「……ん」
カトレアの持つ不思議な説得力に、シエスタを始めジェシカやらロングビルやらが狐につつまれたような顔をしながらも各々納得を見せる。
「この人たちがいたから、今シロウさんはここにいる事が出来る……ですか」
「……ちい姉さまの言う通りだと思う。うん。わたしも、そんな気がする」
「……そっか」
「しかしまぁ、やっぱりと言うか予想通りと言うか、シロウの周りは昔からこんな感じだったのね」
何やら一段落し、各々お茶やらケーキやらを楽しんでいると、不意にポツリとキュルケが写真に映った士郎をつつきながら言葉を漏らした。
「はぁ……本当にみんな綺麗ですよね」
「ええ、そうね。特にこの二人なんて、十から十二というところかしら? 銀髪と黒髪の女の子」
「いや〜これほんと人間? ティファニアみたいになんかのハーフってことないの?」
キュルケの言葉にシエスタやジェシカもティーカップから口を離して写真に視線を落とし、改めて写真に映った女性たちの姿を見て感嘆の声を漏らした。そして、写真を見る女たちの視線は中央に映った士郎の両脇に立つ少女―――特に黒髪の少女に集中していた。
様々なタイプの美女、美少女が映った写真の中でも、特に目が惹かれるのは黒髪の少女。幼くも非常に整った清楚な顔立ちをした少女で、子供らしい無邪気
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