第十三章 聖国の世界扉
第二話 彼の軌跡
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であった。ベララ羊歯の葉製の大きな箒である。
「いいかぁッ!! 俺たちはゴミ屑だッ! 社会の底辺にこべり付いた汚物にも劣るゴミ屑だッ!!」
「「「サーッ! イエス・サーッ!!」」」
「だがっ! そのゴミ屑にも出来ることがあるっ!! それは同類のゴミ屑を殲滅することだッ!!」
「「「サーッ! イエス・サーッ!!」」」
「貴様らが他のゴミ屑どもよりもましなゴミ屑であることを証明して見せろッ!!」
「「「サーッ! イエス・サーッ!!」」」
「目標! アウストリ広場のゴミ各種ッ!! 一サントのゴミも見落とすな全て殲滅せよっ!!」
「「「サーッ! イエス・サーッ!!」」」
マリコルヌの大声を上げすぎて割れた酷いダミ声による命令に従い、一斉に男達はアウストリ広場へと散らばっていく。
彼らは空中装甲騎士団と水精霊騎士隊の混合部隊。現在魔法学院で最強の戦力と最低の評価を得た騎士たちである。彼らはとある事件を起こした罰として、放課後の学院の中庭掃除を命じられていた。ただの罰掃除と侮るなかれ。魔法学院の敷地は広く、そして、そこに住む生徒たちは、基本的にゴミをそこらに投げ捨てる者が多い。寮塔の窓からゴミを投げ捨てる輩も珍しくもない。そのため、中庭の掃除と簡単に言ってもかなりの重労働になる。普段は、メイドや給仕の仕事であり。彼らの中でもキツイ仕事のワースト十に入る程のものであった。
罰掃除を黙々とこなす騎士たちを見つめる生徒達の目には、忌避や侮蔑の視線を向ける者が殆んどであったが、中には気まずさ等が戸惑いが混じっている者の姿もちらほらとあった。そのような者たちは、騎士団による事件とほぼ同時期に起きた陰惨な事件に係わった者たちである。学院の長い歴史の中でも、悪夢としか言いようのないその事件は、その余りにも深い業や、トラウマ持ちを続出させたことにより、なかった事にされた事件であった。事件自体がなかった事にされたため、その事件に関わった者たちに対するおとがめは一切なかったのだが、やはり、記憶を消した訳ではないため、事件に係わった者たちの内心は複雑なものがあった。
そんな様々な感情が宿った視線を向けられる中、水精霊騎士隊の一員であるマリコルヌが、そのぽっちゃりとした体型からは考えられない動きでアウストリ広場のゴミを片付けていると、おずおずと後ろから近づいてくる一人の少女の姿があった。
「あ、あの……」
不安に震える声で呼びかけられたマリコルヌは、肩越しに振り返った背後に立つ少女を見た。
「んん? ブリジッタじゃないか。どうしたんだい?」
「ま、マリコルヌさま……」
マリコルヌに声を掛けた少女。その少女は、“女風呂覗き事件”が
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