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その魂に祝福を
魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――2
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ているものに引きずられる。自分が知りうるものを世界の全てと思ってしまう。つまり、
(僕らが知らない魔導技術があるなんて考えてもみなかった)
 傲慢と言われればその通りだと理屈では分かる。だが、今もどこかでそれを信じ切れていない――積極的に疑っている自分も自覚していた。職業病とでも言えば少しは格好がつくかもしれない。……いや、エイミィ辺りに単に頭が固いだけと笑われるだけか。
(未知との遭遇っていうのは、必ずしもロマンにあふれるものじゃないって事か)
 当然だろう。異なる環境、異なる文化、異なる思想を持つ者達がそんなに簡単に分かりあえたなら、僕ら時空管理局の仕事は随分と楽になる。
(けど、残念だが現実はそうじゃないんだ)
 彼の立場から考えるなら、自らの領域――自分の家族がいる場所に得体の知れない宝石がまき散らされ、しかもそれを狙った得体の知れない組織が襲来したと判断したとしても不思議ではない。それどころか、ひょっとしたら、侵略の前段階として僕らがわざとばら撒いたと判断されているかもしれない。その民族の経歴からすれば、侵略行為と取れる事柄には特別敏感だという可能性は決して低くないのだから。
 となると、確かにあの接触の仕方は誤解を助長させる結果にしかならなかっただろう。もっとも、あの状況で他の方法が選べたかと言われれば難しいと言わざるを得ないが。
(せめて、彼の存在をあらかじめ把握できていれば少しは状況も変わったはずだが……)
 とはいえ、悠長に状況を探っている場合でもなかった。適切に封印されていないロストロギアの傍で魔法を用いた戦闘が行われようとしていたのだ。すぐにでも止めに入る必要があった。
(まぁ、その後の対応が不味かったのは否定できないか)
 もっとも管理局局員として考えれば、対応を誤った訳ではない。そもそもジュエルシードはまだロクに調査の進んでいない代物だ。必然、どれほど危険な代物かもはっきりとはしていないが――次元断層発生に繋がる可能性は極めて高いとの測定結果が出ている。そんな危険な代物を違法に回収しているとなれば見て見ぬふりはできない。さらに言えば、あの金髪の魔導師に関しては明らかにミッド式の魔導師である。事情聴取に応じないなら、多少手荒な真似も止む無しだ――その判断が裏目に出たのは事実だが。
「それで、あの……。多分、私が魔法を使えるようになっちゃったからだと思うんですけど、ここ最近少し様子がおかしくて……」
 仮に彼の経歴が――彼ら一族の歩んだ歴史が真実だとするなら身内を魔導師……彼に合わせるなら魔法使いにしたいとは考えないだろう。その元凶となったジュエルシードを排除したがる理由も分かる。もちろん、妹達を『襲撃』した未知の組織なんてなおさらだ。
「つまり、君のお兄さんは君を魔法から遠ざけるためにジュエルシードを集めて
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