魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――2
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っと……」
『よく考えてみろよ。その優しい優しいお兄ちゃんが自分の手を汚してでもコイツらからオマエを守ろうとした理由を。そうすれば、自ずとオマエがしなければならない選択ってのも分かる。そうだろ?』
露骨なくらいに優しい声で、リブロムが語りかける。正直に言おう。嫌な予感がした。
「そ、そっか。そうだよね……」
しばらくの黙考ののち、なのはは真っ直ぐに僕らと向き合い、決然として言った。
「ごめんなさい。私お腹が痛いので帰ります!」
言うが早いか、彼女はそのまま脱兎のごとく逃げ出す。これ幸いとばかりにリブロムが無責任にあることないこと煽りまくるのが……さらには、それを素直に信じてしまっているらしいなのはの悲鳴が潮風に乗って聞こえてきた。
『え?』
「ちょ!?」
管理局(僕ら)<黒衣の魔導師。彼女の中での信頼度が明示された瞬間だった。まぁ、片や未知の組織、片や身内なのだからその気持ちは分からないでもないが。だが!
『お願い! 一〇分――いえ、五分でいいから私達の話を聞いて!!』
「頼む! 一〇分――いや、五分でいい。素直に僕らの話を聞いてくれ!!」
何だかひたすらに情けない気持ちになりながら、なりふり構わずに吐き出した僕らの叫びが、夕暮れに染まる臨海公園に響き渡った。
3
それから紆余曲折あった末――例えば、彼女と行動を共にしているユーノの渾身の説得だったり、リブロムの言うような凶悪な設備や道具がアースラにはない事を証明するために艦内中をくまなく案内する事だったり、ユーノをフェレットだと思い込んでいたらしい彼女が、変身魔法を解き本来の姿に『戻った』彼を見て悲鳴をあげる事だったり――どうにか、高町なのはとの対話に成功した。
「えっと、光お兄ちゃんについて私が知っているのはここまでなんですが……」
その際にもたらされたのが、彼女の兄である高町光……いや、御神光の情報だった。別に高町なのはが嘘を言っているとは思えない――というか、嘘をつけるとは思えない――が、この次元世界の歴史や外見から予測される年齢と照らし合わせれば明らかない矛盾がいくつもあり、無条件に信じることはできない。というより、御神光は次元漂流者であり、それを彼女達の両親が保護したという可能性の方が濃厚だろう。
とはいえ、現実として彼の魔法は僕らの全く知らない術式で成り立っているのは動かし難い事実である。さらに言えば、管理局のデータベースにはその民族らしきデータはない。つまり、彼の生まれがこの世界であろうが無かろうが、管理局の存在を全く知らなかった可能性は極めて高い。
(まぁ、可能性としてそう言った事態はあり得るはずだが……)
管理局が把握できている次元世界がこの世の全てではない――知識としてはそう理解しているが、感覚は別だ。どうしても人は見え
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