魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――2
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なんて、エイミィの呑気な声が聞こえたりしたがそれはともかく。
「だからしないと――というか、何故君は信じる方向で動いているんだ?!」
叫びながら、いよいよ本格的に後ずさりし始めたなのはの腕を反射的に掴んでいた。途端に、エイミィが悲鳴を上げた。
≪クロノ君! その本から魔力反応――≫
最後まで聞くまでもない。腕を離し、大きく後ろに跳ぶ。それを追うように、獣の咆哮のような音が――いや、衝撃波が炸裂した。別に大した威力ではないが、何であれ完全に不意を突かれた。なす術も無く地面を転がる。
『あの、ごめんなさい。話を聞いてもらえるかしら?』
僕が身体を起こす頃には、なのはの退路を断つように通信用の魔法陣が生じた。
「あの、どなたですか?」
『私は、時空管理局巡行艦アースラ艦長、リンディ・ハラオウンです。驚かせてしまってごめんなさいね。高町なのはさん。少しだけお話させてもらえないかしら?』
母さんが……いや、艦長が単なる営業スマイルではなく、事さらに優しく柔らかな笑顔を浮かべて見せる。とはいえ、そんなものでどうにかできる相手だとも思えないが。……少なくとも、あの魔道書は。
『元締めの登場か……。どうやら、あの小僧とは役者が違うようだな』
案の定というべきか。早速リブロムが警戒し始めた。
「ええ? でも、今度は何か優しそうな人だよ?」
待て。それは何か。僕は優しそうではないと言う事か?――何となく釈然としないものを覚えたがそれはともかくとして。
『オマエはバカか? 詐欺師っつーのは笑顔で近づいてくるんだよ! よく見ろ、あの胡散臭い笑顔を。明らかに腹ン中に得体の知れない化物を何匹も飼ってるぞ、コイツは』
母の笑顔がほんの僅かだけ引き攣った。だが、それも一瞬の事である。さらに表情を優しげなものとして、ゆっくり安心させるように続けた。
『突然の事だし、あなた達が疑うのは分かるわ。だから、落ち着いてゆっくりお話ししましょう。ね?』
あれでも一児の母である。どうやら、子ども相手には効果は抜群らしい。
「えっと……。そう、ですよね。ちゃんとお話ししないと……」
ついでに言えば、なのはは基本的に素直でいい子らしい。あの魔道書が余計な茶々入れをしなければ、ちゃんと話を聞いてくれそうだ。さらに言えば、今の時点でなのはの心は話を聞くという方向に傾いている。
幸いな事に、リブロムの茶々入れも先ほどより効果がないようだった。
『……なぁ、チビ。懐かしいなぁ、この公園も。よく相棒が連れてきたよな』
「え? う、うん。そうだけど……」
どうやら、煽るだけでは分が悪いと踏んだらしい。リブロムが攻め方を替えた。
『ああ。相棒は事の他オマエを可愛がっていたな。オマエもよく相棒に懐いていた。今でも仲がいいって近所で評判だな』
「え
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