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その魂に祝福を
魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――2
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も無く、リブロムがその鋭い牙を噛み合わせた音だ。危うく指がなくなるところだった。
『何をするじゃねえよ。いきなりオレの中身を読もうなんざいい度胸じゃねえか』
「……君の相棒は、ロストロギアの違法回収の実行犯だ。使い魔である君も当然拘束対象となる」
『ハッ! それがどうした? 相棒が掟やぶりなんてのは今に始まった事じゃねえ。その程度の事でオレが相棒を売るとでも思ってんのか? だとしたらそのチビに負けず劣らず脳が随分といい天気らしいなぁ。ヒャハハハハッ!』
 脳がいい天気ってどういう意味なの!?――という、なのはの叫びはひとまず無視しておく。おそらく深刻な脳天気だと言いたいのだろう。
『おら、チビども。さっさと帰るぞ。こんな、頭の中にゃ花畑が広がってて腹ン中には何飼ってるか分からねえ胡散臭い連中とは関わらないに越した事はねえ。のこのこついてったら身ぐるみはがれて人買いにでも売り払われちまうぞ』
 酷い言われようだ。何が酷いって、なのはは信じたようで一歩たじろいだりする。
「そんな事するか。管理局は治安維持を目的とした組織――そうだな。この世界で言えば警察のようなものだ」
『ほら見ろ。やっぱ物騒な組織じゃねえか。ほら、チビども。早く逃げねえと生爪はがされて焼き鏝押し付けられて舌を左右真っ二つに裂かれた挙句、棘だらけの棺桶に押し込まれて生き血絞り取られるぞ! 魔法使いの治安維持組織ってのはそういうもんだ!』
「ふえええええ?! そ、そうなの!?」
「待て待て待て! 警察だと言っているだろう!?」
『警察なんざ元より国営のヤクザだろうが!?』
「どこをどうしたらそういう認識になるッ?!」
 確かに文明水準が低い……つまり、人権や司法という概念や、捜査技術が未成熟である場合――または暗黒期や戦乱期など――では、治安維持組織や司法機関がそういった残虐な行為を行うケースがあるのは、残念ながら各次元世界の歴史が証明するところではある。だが、資料を見る限り、この世界……この国はとっくにその水準を超えた文明を有する法治国家であるはずだ。もちろん、どこのどんな治安組織――管理局も含めてだが――であれ、全く問題がないとは言えないだろう。しかし、だからといってそこまで言われる筋合いもないと思うのだが。
『ヤバいぞ。本性を現しやがった。手始めに爪の間にクソ太っとい針とか刺してくるに決まってるから早く逃げろ!』
 ともあれ――同業者のよしみも多少はあって――思わず怒鳴ると、ホラ見た事かとリブロムは言った。
「決ってない!」
『何ぃ?! いきなり両手の指をへし折って一本ずつ固結びにする事から始めるだと?! 何て奴だ……』
「ひぃあぁあぁあぅ!?」
 高町なのはは奇妙な悲鳴をあげて、いよいよ逃げ出そうとする。
≪やっぱりさっきの印象が悪すぎたんだよねー≫
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