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その魂に祝福を
魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――2
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しては、それ以外は全く監視網に引っ掛かっていない。完全に回避されている。分かっていた事だが、あの男は只者ではない。
「しかし、てっきり彼女はあの魔導師と行動を共にしていると思っていたんだが……」
 あんまりといえばあんまりな扱いに、思わず呟く。
「う〜ん……。でも、あの白い子と黒い子は対立しているんじゃない? 実際に戦っていた訳だし」
 それが聞こえていたのだろう、エイミィが言った。確かにそれもそうだ。そもそもがジュエルシードを挟んで戦闘していたからこそ、慌てて出撃する事になったのだから。
「だが、あの白い子は黒衣の魔導師の妹らしい。見たところ兄妹間の仲が悪いようにも思えなかった。なのに何故、アイツは敵対する黒い少女と行動を共にしている?」
 それはエイミィに向けての問いかけではなく、単なる自問だった。もっとも、考えたところで分かる訳もないが。
「ひょっとして、彼女が探しているのはあの魔導師なのか?」
 可能性としては、それが一番高いだろう。だが、それにしては妙に公園にこだわりすぎているように思えた。あの男が、いつまでも公園に度留まっている必要性などないはず。もっとも、兄と違い、彼女の動きはどう見ても素人のものだ。その判断ができていないと言う可能性も全くない訳ではないが。
「エイミィ、音声は拾えるかしら?」
「少し待ってください」
 エイミィがサーチャーを操作すると、すぐに音声が拾えた。もっとも、どこであの魔導師が見張っているか分かったものではない。そのため、サーチャーはぎりぎりの距離に最小限しか配置していないこともあって、あまり鮮明とは言えなかったが。
『――こにい―のかな?』
『多分――かで、監視――いるはず―よ。ジュエル――ドがここ―ある――明らか――』
 ともあれ、そんなやり取りが聞こえてきた。会話をしている相手は、彼女と行動を共にしているフェレットだろう。使い魔だろうか。
「そう言えば、発見者のスクライア族が一足先に向かっているみたいだよ。変身魔法が使えるみたい」
 声に出ていたのか、エイミィが資料を見ながら言った。となれば、少なくともあのフェレットからは情報を聞く必要がある。その為には、あの少女と接触する必要があった。例え危険を伴うとしても、だ。
『い―加減―めろ。面倒――になる前――るぞ』
 そこで、奇妙な声がした。男性のものとも女性のものとも聞こえる――いや、それら二つが完全に重なり合った声。その声はどうやら、白い少女を宥めているようだった。
「あ、あれ? 何かおかしいのかな?」
 エイミィがサーチャーを調整するが、やはりその声だけがそう聞こえてくる。
「デバイスか?」
「分かんない。でも、デバイスらしい反応はひとつしかないよ」
「いずれにせよ、接触するしかないか……」
 右腕の調子を確かめなが
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