魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――2
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らそれが目覚めたらしい』
「えっと、何で先生の持っていた代償?――を光お兄ちゃんが持っているの?」
『相棒はジェフリー・リブロムの正当な後継者だ。受け継いだのは単なる小手先の技術や魔力だけじゃねえ。文字通りジェフリー・リブロムの全てを受け継いでいる。その中にあの代償が含まれていたって別に不思議じゃねえ』
「全てを受け継ぐ……そんな事が出来るのか?」
答えが返ってくるとは思えなかったが、つい反射的に問いかけていた。
『できるさ。ジェフリー・リブロムは自らの後継者を生み出すために、魂の全てを賭したんだからな』
僕が思っている以上に動揺しているのだろう。リブロムは思いの外あっさりと言った。
「……ジュエルシード、安定しました」
そこで、エイミィが僅かに震えの残る声で報告した。安定したと言うより、力尽きたと言うべきだろうが……ともかく、全ての思念体が消滅した。それと同時、御神光も正気に戻ったらしい。のろのろと『こちらを見て』言った。
『……のぞき見とはいい趣味をしているな』
サーチャーに気付いたらしい。即座にあの回転する刃が放たれ、映像が途切れた。
「……サーチャー、全て破壊されました」
『ま、相棒が正気なら気付かねえ訳ねえな。ヒャハハハハハッ!』
ひとまず御神光が正気に戻り、一応の冷静さを取り戻したのか――リブロムの大笑いがブリッジに響き渡る。そして、一通り笑い転げてから、その本は言った。
『しっかし、チビ。オマエ、相棒の腕はどう見えた?』
「ど、どうって……。いつも通りの腕だったけど。その、ジェフリー・リブロムさん?――の腕じゃなかったと思うよ。ねぇ、ユーノ君」
「は、はい。特におかしな所はなかったと思います。……その、腕については」
『って事は、あくまで相棒には『そう見えて』いるってだけか。だからって、状況が好転した訳じゃねえが……』
「状況って?」
『だから、このままあの代償を野放しにすれば……殺戮衝動に侵蝕され続ければ、相棒はいずれ世界を滅ぼす怪物に成り下がるって事だ』
世界を滅ぼす怪物。それは、今まさに感じた事だ。だが、今の発言からすればジェフリー・リブロムとやらは世界を滅ぼさなかったはず。また、後継者――つまり、御神光を育成した以上、例えば殺されたと言う事でもないだろう。
「リブロ……えっと、ジェフリーさんはどうやってその代償を治したの?」
『代償ってのは簡単に言いかえれば未練みてえなもんだ。それを果たしてやりゃ鎮まる事もある。実際、そうやって鎮めた訳だしな』
「つまり?」
そこで初めて僕が会話に混ざっている事に気付いたのだろうか。リブロムはジロリと僕を睨んでから、続けた。
『元々殺戮衝動ってのは、たった一人の人間に向けられた殺意だったんだ。つまり、ソイツを殺せばいい。ただそれだけの事だ』
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