魔石の時代
第三章
世界が終わるまで、あと――2
[11/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
今はこれからできる事に集中しよう)
自分に言い聞かせるような気分で呻いていると、
「……なのはさん、あなたにお願いがあるのだけれど」
不意に、艦長が口を開いた。真剣な顔で、高町なのはに向かって告げる。
「あなたにお兄さんの説得……いえ、誤解を解くのを手伝ってほしいの」
それは誰にとっても予想外の発言だった。イレギュラーな対応だが、妥当な考えではある。御神光が正気であれば彼女の脅威になるとは考えづらい。むしろ懸念すべきはジュエルシードの暴走や、それが生み出す暴走体だが――今までの戦績から考えれば、深刻な危険を伴うとは言い難い。ユーノとリブロムが同行するならなおさらだ。もちろん、御神光が暴走状態だった場合や、それ以外の不測の事態に備えて僕らも出撃準備を整えておくつもりだが。
(もっとも、僕らが出ても状況は悪化するだけか)
僕が御神光と接触を取ろうとすれば、それは確実に交戦に――殺し合いに繋がる。そうなれば手加減などできないし……必ずしも拘束できるとは限らない。さらに交戦を繰り返せば繰り返すだけ対立は深刻化するだけだ。
それらを併せて判断するなら、現時点で御神光と最も安全に接触が取れるのは妹であり、魔導師である彼女だろう。そして、彼女に求めているのは交戦ではなく、対話のための取次だ。もちろん強制はできないが――協力を仰ぎたいのは事実だった。
「危険な事をお願いしているのは理解しているわ。でも、あなたの協力が必要なの。誤解を解いて、協力してもらえれば、すぐにジュエルシードを集める事が出来るはずよ。そうすれば、光君の不安も取り除けるでしょう?」
それは、高町なのはにとっても決して無視できない条件だったらしい。明らかに目の色が変わった。あるいは、僕らに話していない何かがまだあるのかもしれない。いや、
『やめておけ』
そこで初めて、リブロムが口を開いた。躊躇うなのはに対して、その本は言い聞かせるように言った。
『やめておけ。今相棒の邪魔をすれば、世界が滅びる。何があったか知らねえが、どうやら厄介な『魔物』が目覚めつつあるらしい。ついでに言えば、それを封じる鍵はあの嬢ちゃんなんだろう。なら、あの嬢ちゃんと敵対するソイツらは邪魔なだけだ』
それが何を意味するのかまるで分らなかったが、リブロムはそれ以上一切口を開かなかった。あくまでも僕らに情報を提供する気はないということだろう。
もっとも。幸いにして高町なのはは僕らに協力してくれる事になった。彼女は翌日からアースラに搭乗し、それにはリブロムも同行している。情報提供を求める機会はまだ残されていると考えていいだろう。
そして、ジュエルシードの暴走が二ヶ所同時に計測されたのは……その片方に御神光が現れたのは、彼女がアースラに搭乗した翌日の事である。
4
魔物が目を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ