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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆最終決戦
第四十三話 茅場晶彦
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システム管理者だけだから」
 ヒースクリフは顎に手をやって少し考えると、今度はキリトを見た。キリトはミズキと同じように肩をすくめて答えた。
「デュエルの時だ。――最後の一瞬、あんたあまりにも速すぎたぜ」
 やはりそうか、と彼は呟くと、ついにそれを認めた。
「うむ――確かに、私は茅場晶彦だ。加えて、第百層で君たちを待ち受けるはずのラスボスでもある。……最後に私の前に現れるのは、キリト君、君だけだと思っていたのだがな。まさか四分の三時点でこれほどのプレイヤーに正体を見破られるとは思っても見なかった。この世界で絶対の力を持つのは反応速度であるからして、全プレイヤーの中で最大のそれを持つキリト君がこの世界で唯一私の前に立つだろうと予想をしていたのだが……私の予想を超えるプレイヤーは他にもいたということだろうか。いやはや、これも大規模ネットワークRPGの醍醐味の一つと言えるかもしれないな」
 ガン、と何かを床に打ち付ける鈍い音がした。先ほどヒースクリフからポーションを受け取ったばかりの血盟騎士団の団員が、石畳に甲冑をめり込ませるほどの力を込めた。
「貴様……貴様が……。俺たちの忠誠――希望を……よくも……よくも……」
 槍を杖代わりに、彼は全身を起こした。体重と怒りを載せた一撃がヒースクリフを狙う。
「よくも――――ッ!!」
 絶叫しながらの一撃がヒースクリフに届く直前、彼は空中でぴたりと静止し、その場に音を立てて墜落した。HPバー横に緑色の状態異常アイコンが点滅する。茅場が左手を動かす度に、その場のプレイヤーが皆崩れ落ちていった。
 ――キリト、マルバ、ミズキの三人を残して。
「……どうするつもりだ。この場で全員殺して隠蔽する気か……?」
 キリトがぼそりと言った。彼は跪き、倒れたアスナの手を握った。
「まさか。そんな理不尽な真似はしないさ」
 ヒースクリフは微笑みを浮かべながら、首を振って否定した。
「こうなってしまっては仕方がない。予定を早めて、私は最上層の〈紅玉宮〉にて君たちの訪れを待つことにしよう。90層以上の強力なモンスター群に唯一対抗できる力として育ててきた血盟騎士団を途中で放り出すのは不本意だが、なに、君たちの力ならきっと辿り着けるさ。だが……その前に……」
 茅場は言葉を切ると、その場に立つ三人を見据えた。右手の剣を軽く床に突き立てると、高く澄んだ金属音が石の壁に反響した。
「君たちには私の正体を看破した褒美を与えなくてはなるまい。チャンスをあげよう。君たちの中で誰か一人だけが、今この場で私と一対一で戦うチャンスを。無論不死属性は解除する。私に勝てばゲームはクリアされ、全プレイヤーがこの世界からログアウトできる。……どうかな?」
 その言葉に、即座に反応した声が二つあった。
「やめて、マルバさん。戦うならあたしも
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