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無欠の刃
下忍編
血継限界
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ら遅いし、要素が不十分」

 カトナが言うと、まるで簡単に思えるが、全然簡単ではない。
不規則に落ちてくる雨粒を、自分に当てないように、色んな方向からチャクラの糸を放出し、それで自分の体に触れる寸前で雨粒をチャクラの糸で貫く。
 蟻のツボを貫く修行と同レベルの難易度を誇るだろう。カトナはそんな修行をあっさりこなせる。それほど努力してきたのだろう。
 …なんでそんなに修行するんだろう。
 サクラはちらりとカトナを伺う。集中しきり、今日とれた鉄を刀に纏わせているカトナは全く気づかなかったが、サクラはどこか睨み付けるような視線で彼女を見る。

「どうしてそこまで…」
「忍びで、居たいから」

 強く、それでいて脆く、気高く、誇り高く、あのときから忘れられぬ、忘れがたき忍びのようになるために、カトナは努力を惜しまない。

 「それが理由だよ。努力する、理由だよ」


 『それ以上は要らないよ』


と、言い切り、カトナは刀を背負い、サクラを見る。サクラはうつむいて、あり塚から出てくる蟻をじぃっと見つめる。
 恥ずかしくて、死にそうだ。死にたくて死にたくて死にたくて、忍びを止めたくなってしまった。
 サクラが忍びになったのは親の期待で、別になりたくてなったわけじゃないのに、どうして頑張らなければいけないのと、いつも思っていた。
 でも、カトナにとっては、それが全てだったのだ。それほど、忍びを重んじているのだ。
 そんなカトナを前にしていたのに、なのに…、努力しようともしなかった自分が恥ずかしくて、苦しくて。
 
 人指し指から出たチャクラの糸は、カトナの糸よりも100倍太くて、なのに蟻すら貫けない。
 けれど、それでも。
 サスケくんのように強くなくても、いののように立てなくても、ナルトのように頑張れなくても、カトナのように覚悟が決めれなくても。
 それでも、それでも。



 「忍びでいよう」



 言い切って、人指し指からチャクラを伸ばす。
 もう日が暮れるというのに、張り切り出したサクラを見て、くすりと微笑んだカトナは、それを見て、自分も元気付けられるように洞窟へと歩き出した。

……

 ふと見つけた影に、ゆっくりと歩みより、か細い声をかけたカトナは、

「誰?」
「…君こそ誰だ」
「私? うずまきカトナ」

 あっさりとそういうと、カトナは少年を見つめる。
 少年はその言葉にどう答えるべきだと迷いながら、背中に自分の腕と武器を隠し、自分の名前を思い出す。

 …思い出すつもりはなかったのに、自分の名前を思い出して、同時に思い出す気のなかった、あのときの記憶が頭を叩いた。

 あの日、彼は、碌に自分に会いにすら来ず、自分を檻の中で閉じ込めるだけの男に、霧の
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