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【SAO】シンガーソング・オンライン
おまけ:いざゆかん妖精の世界
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ブ?」
「一人でー?」
「大昔は3人でやってたんだが、1人死んでもう1人が抜けたんだよ」
「・・・そう、なんだ。変なこと聞いちゃったかな?」
「もう終わったことだ。だから俺一人でバンド続行中。どーせ他に出来る事も無いしな」

黒髪の女の子だ。といってもアバターの性別とリアルの性別が一致しているとは限らないが、まあ男でも女でも音楽は聞けるから問題ない。
闇妖精(インプ)なので耳がエルフみたいにとがっているんだが、違和感覚えないんだろうか?
俺は未だに自分の耳がロバの耳であることに変な気持があるんだが。
若者の順応力が恐ろしい。

まぁそれはそれとして、今日も最初は同じ曲。
ぶら下げたギター的楽器をかき鳴らして所構わずライブを開始する。

 〜〜♪〜〜♪

俺には本当に最近これしかない。
SAO時代の下積みのせいで歌唱力とギターの腕は無駄に上がっているが、それ以外には本当に秀でた能力が無い。
勉強も凡人の域を越えないし、将来の夢も現実的なものはない。
結局心を動かされるのはこうして音楽で頭を満たしてるときだけだ。
・・・気のせいか、段々居場所がVR側にシフトしてないか?

 〜〜♪〜〜♪

俺の求めてるものって、何だ?
SAOじゃ他に出来る事も発信できるものも無かったから歌い続けてたが、今とあの時とじゃなにか演奏して歌う理由が変わってきていると思う。
そんなことを頭の片隅で考えながら演奏が終わると、黒髪の女の子が目の前に座り込んでじっと見ているのに気付いた。

――ふむ、久々に新規のお客さんってことか。
俺の知り合いプレイヤー以外は、大体一曲聞いたかサビを通り過ぎた辺りで帰る。
だがこの子はこれ以上まだ聞く気らしい。
楽しそうな目はしていない。ただ、何かを見つけようとしているのだろうか。

「お兄さん、さっきの曲もう一回聞かせて」
「そーいうときは『アンコール』、って言えばいいぞ」
「アンコール!・・・初めて言うや、アンコールなんて」
「まー使う機会はあんまりないかもなぁ」

また俺は歌った。少女は黙って聞いた。

アンコールが入った。歌った。少女は黙って聞いた。

こんなに真剣な目で歌と向き合ってる奴初めて見たかも。
SAO初期じゃこればかり寝ても覚めても歌っていたのを思い出す。

またアンコールが入る。俺は何の疑問も持たずに歌う、少女は黙って聞いた。

そんな貸切ライブが1時間は続いたろうか。
なんだかシステムではそんなものない筈なのに、熱くなってきた。
こいつはいつまで俺の歌と向き合うのか、限界を知りたくなってきた。
少女、アンコール。俺、歌う。
少女、アンコール。俺、歌う。
延々と繰り返す音楽VS目線のエンドレスワルツ。歌う、演奏終了、アンコールの三拍
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