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FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
序章 出会い
Story3 アネモネの記憶
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「エメラ?大丈夫?」
心底不安そうな表情を浮かべてコテツが顔を覗き込んでようやく我に返った。
「何か思い出したのか?」
「ゆ・・・揺れて、る・・・・」
「何が?」
「花が―――アネモネの花が、風で・・揺れてたの・・・」
問い掛けてくるグレイの瞳を真っ直ぐ見つめながら、エメラはゆっくりと今見た情景を言葉にして紡ぎ出す。
「アネモネの花だけじゃ、何の手掛かりも掴めねェな。」
イブキが頭を掻きながら独り言のように呟いた。
「まぁとにかく、“記憶の宝石”を見つける事も出来たし、クエストもこれで完遂だ。依頼主に報告しに行こう。」
「そうですね。」
「おしっ!今度は依頼主の所まで競争だァァアッ!」
「はァ!?」
「今度は負けないからな。」
エルザの言葉にウェンディも賛同し、ナツの突然の思いつき発言にルーシィが驚嘆の声を上げ、アオイが張り切って腕の筋肉を伸ばす。
(アネモネ・・・あれ?私、どこかでアネモネを見た事が・・・・)
頭に手を当てて考え込むエメラの右肩にバンリが手を置いた。エメラはバンリを振り返ると、バンリの赤い瞳がエメラの姿を捉えていた。バンリの瞳に映るエメラの瞳は
紅玉
(
ルビー
)
色をしていた。
「今はあまり、深く考えない方が良いと思う。」
そう言うと、バンリはイブキの横に並んで走る態勢を取った。
「おーいエメラー、何やってんだー?」
「早く早くー!」
「おいてっちまうぞー!」
ナツ、ルーシィ、グレイの順に言葉を放つ。
「うん!今行くよーっ!」
そう返事をした後皆がいる場所に向かって駆け出した。
(バンリの言うとおり、今は深く考えないで、皆と一緒にいる方が良いんだ。)
ウェンディとルーシィの間に割って入って、エメラも走る体勢を取る。
「よぉーーーい・・・スタートォォォ!」
ハッピーの声と共に、今度は全員が一斉に走り出した。
夕日がモミジの葉を、赤色に染め上げた。
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