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FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
序章 出会い
Story3 アネモネの記憶
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も噛み付きそうな勢いで怒鳴るナツをアオイが片手で制する。
「頂上に着いても誰もいなかったから、急いで下山したらこの有様。」
表情を一切変えずにバンリは言うと、視線を巨大カエルに移し赤い瞳にその姿を捉えた。
「ここに来る前に、生物図鑑を読んでいて正解だった。」
「このカエルを知ってるの!?」
バンリの言葉を聞いたシャルルがバンリに問う。
「アシッドロン。口からどんなものでもドロドロに溶かす事が出来る酸の液体を吐き出す、山に生息している魔物だ。そしてアイツの弱点は炎だ。」
最後のバンリの言葉にナツ達は耳を疑った。
「さっき炎で攻撃したけど、ちっとも効いて無かったぞ。」
頭の後ろで腕を組み、口を尖らせながらナツが言うと、バンリは首を左右に振った。
「アイツの体は、危害から身を守る為に攻撃やものを跳ね返す、特殊な液体で覆われているんだ。でも、その液体は頭にだけない。攻撃をするなら頭だけを狙え。」
バンリがさっき放った矢も、アシッドロンの頭に突き刺さっていた。
「それならそうと早く言ってくれよ。」
「ナツ、私も手伝うよ。」
「ナツさん、エメラさん、援護します!」
ウェンディが両手を広げ唱え始めた。
「天を切り裂く剛腕なる力を・・・アームズ!」
指の関節をポキポキ鳴らしながら口角をニィッと上げて笑うナツと、腕輪に
紅玉
(
ルビー
)
を嵌めて両手に炎を纏うエメラに、ウェンディが攻撃力を強化させるアームズを掛ける。
「
紅玉の炎
(
ルビー・フレイム
)
ッ!」
高く跳躍したエメラは踊るように体を捻らせ、両手の炎をアシッドロンの頭上目掛けて投げつける。
「ゲロォ!」
「効いてるわっ!」
ルーシィが感嘆の声を上げる。
「ぶちかましてやれっ!ナツ!」
「おう!」
イブキの声にナツは短く返事をすると、エメラと同じように高く跳躍し、両手に炎を纏う。
「右手の炎と、左手の炎を合わせて・・・」
炎が輝きを増した。
「火竜の煌炎ッ!」
両手を大きく振りかざし、アシッドロンを地面に叩きつけるような勢いで頭を殴る。
「ゲロォォオォオオオオッ!」
アシッドロンは目を回し、ドスゥゥゥン!と音を立てて地面に倒れ込んだ拍子に口から何かを吐き出した。酸かと思ったそれは、よく見ると薄ピンク色に光り輝いている宝石だった。
「あっ!」
「“記憶の宝石”だ。」
ハッピーとエルザが呟いた。
コロンと転がった“記憶の宝石”をナツが拾い上げ、エメラに手渡す。
「!」
エメラの脳裏に眩い光を放つ閃光がよぎった。
赤、ピンク、白のアネモネの花が風で揺れている―――――。
また脳裏に眩い光を放つ閃光がよぎり、アネモネの花の情景は消えた。
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