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FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
序章 出会い
Story3 アネモネの記憶
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ブキが胸を張って言った。

「そんな事より・・・」
「ドコにもいないよ、巨大生物なんて。」

辺りを見回しながらアオイとコテツが呟いた。
モミジ山の頂上にいるはずの巨大生物の姿が影も形もないのだ。「巨大」と言うくらいなのだから、簡単に身を隠す事なんて出来ないはず。況して身を隠す事が出来る木や岩も建物も、頂上にはない。

「何だよ、せっかく走ってここまで来たっていうのによぉ。いるならいるで姿を見せ―――――んぁ?」
「!!!」

「見せろよ」と言い掛けたナツの頭に、ドロォとした半透明の液体が垂れた。

「な・・何だコレ!?ベトベトしてるし・・・つーか(くせ)ェエ!」

頭に垂れた謎の液体を触りながらナツが鼻を摘んだその時、ナツの黒い影より遥かに大きな黒い影が、ナツの黒い影に覆い被さってきた。

「ナ・・ナ・・ナ・・ナツ、さん・・・」

目を見開き、顔を真っ青にしたウェンディが歯切れ悪くナツの名を呼ぶ。ウェンディだけではない。ハッピーもルーシィも、グレイもエルザも、シャルルもエメラも、コテツもアオイもイブキも、皆目を見開き、顔を真っ青にしてその場で固まってしまっている。

「お、おい・・どうしたんだ?」
「う・・う・・う・・後ろ・・・!」

頭を左右に振って液体を掃いながら問うと、翠玉(エメラルド)色の目を見開いたエメラが、口元に左手を当て、震えている右手の指先でナツの背後を指差した。

「後ろォ?後ろがどうかし―――――・・・!!?」

「どうかしたのか?」と言いながら後ろを振向いたナツの声はそれ以上続かなかった。
ナツの背後にいたのは、茶色い縦縞模様が特徴的な巨大なカエルだった。半分だけ開いたカエルの口から涎が垂れ、ナツの足元に水溜りを作る。ナツの頭に垂れた液体は、カエルの涎だったのだ。半分だけ開いたカエルの口の中から青紫色の舌の先が見えた。

「こ・・これが、依頼内容の・・魔物・・なの、か・・・?」
「あ、あぁ。ま・・間違い、無い・・・」

歯切れ悪く問うアオイに、歯切れ悪くエルザが答えた。
巨大カエルが水掻きのついた手足をゆっくりとナツ達の方に近づけてくる。

「に・・に・・に・・」
「逃げろォォオオォオオオッ!」

声が上手く出せないコテツの代わりにイブキが声を荒げ、それが合図だったかのようにナツ達はモミジ山を下山し始めた。すると、巨大カエルも体の向きを変えて木々を倒しながら下山し始めた。

「追って来ますよ〜!」
「あのカエル、私達を餌だと勘違いして・・・」
「振向くな!前だけを見て走れェ!」

エルザが声を荒げて叫ぶ。

「だぁーーーっ!しつけー奴だなァ!火竜の咆哮ッ!」

愚痴を吐きながら、ナツは後ろ走りになると、息を吸い頬を大きく膨らませ炎
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