群雄割拠の章
第3話 『どうしてこうなった』
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になる。
そんなことが、お前ごときにできるとでも!?
「……確かに袁術には、物資の面で手助けを受けた。だが、その恩は袁術本人に返すことにしている。陶謙殿の恩は、民の助命嘆願をすることで果たそうと思うが?」
ぐっ……まだ言うか!
「しか――」
「いえ、公孫伯珪様。その事で、袁術様より使者が我らと共にご説明したく、こちらに参られております。その方をお呼びしてもよろしいでしょうか?」
!?
そ、そうだ……そうだった。
最後の手として、我らは袁術から最強の手札を預かっていたのだ!
だが、それは袁術に多大な借りを作ることにもなる。
本来はそれを使わずに、後ろ盾があることだけを仄めかすつもりで同道させたのだが……
まさかここでそれを使うことになるとは。
(兄者、やむをえん)
(くっ……わかっている!)
背に腹は変えられん。
「袁術から? 誰だ?」
「はっ……袁術様の腹心、張勲様です」
「張勲か……まあいい。話を聞こう」
「はっ! では、すぐにお呼びしてまいります!」
よし……やはり袁術の直臣の言葉には逆らえまい。
この女め、手間をかけさせてくれる!
だが、貴様ら女に、美しい我々が負けるはずはないのだ!
―― 盾二 side ――
「ふっふ〜ん。かわいい美羽様の大将軍、張勲さんですよ…………………………きゃあああああああああああっ!? 何故、何故天の御遣いさんがここにぃ!?」
「え? ああ、今盾二は私の所にいてもらっているんだ。で、まあ袁術からなにか……」
「いえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえ! 何もありません! 何もしていません! 私は帰ります! 陶謙さんについて、美羽様は何も知らないことです! 私も何も知りません、関係ありません! すいません、急用思い出したので帰ります! 失礼しました!」
「あ、おい! あ…………な、何をしに来たんだ?」
……今の、誰?
―― 糜芳 side ――
な……なんだ、と?
俺は張勲の言葉に、耳を疑った。
隣にいる兄者は、あまりのことに驚愕の眼差しで固まっている。
当然だ……まさか、まさかあの袁術の直臣である張勲が、ここまで恐れる人物が目の前にいる。
天の御遣い……あの梁州牧、劉備の軍師にして、大陸最強と言われる呂布と互角に戦う男。
おそらく、あの曹操すら越える知謀と知略を持ち、たった数年で田舎だった漢中を一大都市に作り変え、あまつさえその武力は大陸で一二を争う者。
女尊男卑のこの世において、男の身でありながら大陸で名を馳せる者。
世の風潮を忸怩たる思いでいる我らが、まさしく崇拝するべき存
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