群雄割拠の章
第3話 『どうしてこうなった』
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奪だけでもやめていただける様、お伝えしたいのです!」
ククク……こう言っておけば、私の命を是が非でも守ろうとするだろう。
義理人情に厚いというのは、操りやすいものだ。
縋ってくるものを無碍にはできない……それが甘い。
だから――
「う……む……」
公孫賛は顔を顰め、悩んでいる。
む……?
てっきり、すぐにそれを止め、自分に任せろと言ってくると思ったのだが。
私の演技が足りなかったか?
「確かに……民の事は心を痛める。それについては曹操に一言言った方がいいか……」
……ふっ。
なんのことはない。
ただ逡巡していただけか。
「で、では!」
「だが……それ以外のことは、私にはできかねる。謝意がある事は伝えよう。だが、それ以上の事については、手を貸すことはできない」
「なっ……」
公孫賛の言葉に、私は思わず耳を疑った。
隣にいる弟、糜芳も顔を顰めている。
あの公孫賛が、民のことを絡めた話に断りを入れるだと……?
「お、お考え直しください、伯珪様! 曹孟徳様が次に攻めてきたら、徐州の民は今度こそ全滅させられてしまいます! どうか、どうか我らに謝罪の機会を――!」
私は床に頭を擦り付ける。
まずい……ここで公孫賛の温情が引き出せないと、そもそもの計画が崩れる。
この女の性格を、私が見誤ったというのか!?
「……民については、曹操に伝える。それは約束する。だが、陶謙殿の和睦の仲介をする気はない」
「なっ――」
「父君を殺された曹操の怒りは凄まじい。その原因は部下の不始末だったならば、陶謙殿は何故自身の命でそれを贖おうとしないのだ?」
「そ、それは……」
「民が虐殺されるのは自身の不始末。ならば、陶謙殿一人が曹操の元に行き、徐州の民の命を自分の命一つで助命する……私ならそうする。何故、陶謙殿はそうしない?」
ぐっ……
「陶謙殿は病に伏して、余命いくばくもないのであろう? ならばこそ、その生命を以って徐州の民のために役立てるこそ、領主の努めと考えるが?」
……なんということだ。
この公孫賛伯珪という女。
ただの普通の人の良いだけの人物と思っていたのは……全て擬態か!
まさか、ここまで正確に状況を把握し、それを利用しようとするなど……
う、美しさで優る我ら兄弟が、こんな普通の女に出し抜かれるなど……
「……お待ちください。我らは袁術様よりご支援も頂いております。恐れながら公孫伯珪様は、袁術様と恭祖様と約定を交わしておるのでは?」
「そ、そうです! 互いに協力しあうという約定であったはず!」
糜芳、よくぞ言ってくれた!
そうだ、公孫賛……手を貸せないとあらば、袁術をも敵に回すこと
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