群雄割拠の章
第3話 『どうしてこうなった』
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を招いたからこそ、こうして仕えてはいるが、それは我らの立身出世の足がかりにするため。
粗暴な陶謙ならば、私の政治力を欲しがると踏んでのことだったが……ここまで馬鹿だと救いようがない。
だが、この窮地を救えば、陶謙に多大な恩も売れる。
そしてこれを纏めれば、目の前にいる公孫賛、そして曹操にも私の交渉力を見せることができるだろう。
その上、愚かな主君を必死で庇おうとする忠臣との評価も得られるかもしれない。
ククク……そうなれば、私に声をかけて来る者も出よう。
その時は、精々渋った上で理由をつけて高く売り込めば良い。
その足がかりのためにも……この交渉はなんとしても纏めたい。
「此度は不幸な事故から発し、数々の誤解が重なりあった上での悲劇かと存じます。我々の謝意が曹孟徳様に届かぬ以上、せめてその謝罪の意志だけでも義に厚い公孫伯珪様にお縋りしてお伝えいただきたく、愚考致しました次第。なにとぞ……」
まあ、民に盛大な人気があり、かの梁州牧である劉備と並ぶほどに義将と名高くなった公孫賛である。
その性格も……愚かなことだが義理人情に厚く、常にまずは手を差し伸べるという甘さがある。
私に言わせれば、ただの愚か者だ。
人を疑うことを知らない、とても人の上に立つ器量ではない。
梁州牧、劉備も同じらしいが……あちらには義兄弟である関羽や張飛がいる。
その上、義勇軍時代から常に傍にいる人物、我らが目標とする天の御遣いがいる。
男であるにも拘らず、有象無象の女武将たちを寄せ付けぬ武力と知謀……まさに我らの憧れだ。
おそらくその天の御遣いの元で、劉備自身は演じているのだ……人の良い徳の人物を。
そして配下の者に汚れ役を押し付け、自身を清廉潔白の徳の人と見せている。
そういう意味では非常に評価できる。
だが公孫賛はダメだ。
こいつは素でやっている。
私は一目見て、公孫賛伯珪という人物の評価を最低にした。
人としての美徳は、君主としての美徳とは成り得ない。
君主は清濁合わせて持ち、冷徹な指示もできなければならないのだ。
だからこそ、今私が非常に魅力を感じるのは、敵である曹操だ。
あの民を殺し尽くした冷徹さ……有能さは皇帝の後見人であることで折り紙つき。
私がのし上がるには、曹操の下につくのが良さそうである。
そのためにも、公孫賛には曹操と面会を仲介させ、私の命を奪うことは公孫賛の面子を潰すことになるように仕向けなくては……
「どうか。どうかお願い致します! せめて、我が意志を曹孟徳様にお伝えできるように計らってはいただけませぬでしょうか!? 私はそれが成れば曹孟徳様に殺されても文句は言いませぬ! どうか、民のため、徐州での虐殺と略
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