群雄割拠の章
第3話 『どうしてこうなった』
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「守りたい……もの?」
「そう。白蓮が守りたいのは、自分の体面? 財産? それとも義理人情? 」
「………………」
「それとも……平原の民?」
「あ……」
白蓮の顔が、呆けたようになる。
やっと気づいたか。
「守りたいモノの為にはどうしたらいいか、まずは原点から考えてみれば……わかるんじゃない?」
俺の言葉に、待つことしばし。
しばらくしてから白蓮は――くしゃくしゃと頭を掻いて。
俺に笑顔を見せた。
―― 糜竺 side ――
「お初にお目にかかります。私は徐州牧であられる陶謙恭祖様に仕えまする、姓は糜、名を竺、字は子仲と申します。恭祖様より御用を言いつかりまして、罷り越しました」
「同じく糜竺の弟、姓は糜、名を芳、字名を子方と申します。兄の護衛として同伴致しました」
私は、拝礼の後に顔を上げる。
隣にいる弟の糜芳も同様に顔を上げた。
目の前にいるのは、平原の太守である公孫賛伯珪。
正直、そこそこの美人ではあるが……どこか平凡な女性に見える。
まあ、我々兄弟の美しさに比べれば、この世の女性などどれもこれも大したことはないのだが。
「挨拶、丁寧に痛み入る。私が公孫賛伯珪だ。隣にいるのは……相談役だ」
相談役?
見れば黒い服に身を纏った男が一人。
ふむ……顔はまあ、合格といってもいいだろう。
童顔であるのに、その目の精悍さが気に入った。
「……お気にせず。伯珪様の護衛と思ってください」
あまり目を合わせようとせず、慇懃な拝礼をする男。
ふむ……寡黙なのか?
「で、だ。陶謙殿からの用とは?」
「は。この度、我が主恭祖様が、不幸にも曹孟徳様と争うきっかけのご説明と、そのご助力の嘆願に参りました」
「ふむ……」
目の前にいる公孫賛は、顎に手を当てつつチラリと隣に立つ相談役の男を見る。
だが、その男が何も言わないのを確認すると、こちらへと視線を向けた。
「まあいい。ともかく話を聞こう。書状では私に曹操殿との仲介をしろとのことだが?」
「はい。まずそもそもの発端ですが、恭祖様配下の一部の愚か者が金目の物欲しさに曹孟徳様のお父君を『誤って』襲撃したことがきっかけでした」
「……ほう」
公孫賛の目が細くなる。
警戒したのだろう……まあ、当然だが。
本来は狙って襲撃したのだから当然だ。
陶謙も、もう少し考えて行動してもらいたいものだ。
尻拭いする方の身にもなって欲しい。
「この報告に慌てた恭祖様は、すぐに犯人を見つけ出して処刑したのですが……曹孟徳殿は、こちらが謝罪の使者を出す前に徐州へ侵攻。徐州内の街、農邑に拘らず、人家を全て襲い、女子供も構わ
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